数々の著名エグゼクティブのコーチを務め、世界有数のリーダーシップ思想家ともいわれるマーシャル・ゴールドスミス氏の世界的ベストセラー、『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』と『トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる』が、2024年2月、同時に文庫化。編集を担当した三田真美さんを迎え、ゴールドスミス氏の言葉やその人となりについてお話を伺いました。今回は1回目。(聞き手は、「日経の本ラジオ」パーソナリティの尾上真也)
世界有数のリーダーシップ思想家
尾上真也・「日経の本ラジオ」パーソナリティ(以下、尾上) 今回から、『 コーチングの神様が教える「できる人」の法則 』と、『 トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる 』(ともにマーシャル・ゴールドスミス、マーク・ライター著、斎藤聖美訳/日経ビジネス人文庫)の2冊を取り上げます。ゲストには、編集を担当した三田真美さんをお迎えしました。どうぞよろしくお願いします。
三田真美・日経BP(以下、三田) よろしくお願いします。
尾上 三田さんには、以前『 静かな働き方 』(シモーヌ・ストルゾフ著、大熊希美訳)を取り上げたとき、翻訳者の大熊希美さんと一緒に出演いただきました。三田さんはこういったビジネス啓発分野の翻訳本を担当することが多いのでしょうか。
三田 そうですね。今回はコーチングですが、いろいろな本を担当するなかでも心理学や自己啓発の本は力を入れてきたジャンルです。
尾上 『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』と『トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる』の2冊の著者であるマーシャル・ゴールドスミスさんは、タイトルにあるように「コーチングの神様」と呼ばれる方なのですか。
三田 そうですね。ゴールドスミスさんは、ゼネラル・エレクトリック(GE)のCEOだったジャック・ウェルチのコーチをしていた人として有名です。他にもIBMや世界銀行、製薬会社などのCEOやトップのコーチだけではなく、エグゼクティブの研修なども引き受けていて、経営者たちから厚い信頼を集めている方です。ちなみにコーチング料は、契約あたり25万ドルだったそうです。
尾上 25万ドル!
三田 また、「Thinkers50」の「世界で最も影響⼒のあるビジネス思想家」に何度も選出されたり、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌などでは「世界有数のリーダーシップ思想家」と評されたりしました。また米国Amazon.comでは、ビジネス書の思想哲学ジャンルで、健在する著者として2冊の著作が同時期にトップランキングに入った数少ない存在です。これだけでも、偉大なビジネス思想家であることが伝わるのではないでしょうか。
ドラッカーと同年に「Thinkers50」の殿堂入り
尾上 文庫化された『コーチングの神様』の帯を見ると、「シリーズ累計250万部超の世界的ベストセラー」とあります。今も多くの読者に支持されているのでしょうね。
三田 はい。250万部超という数字はシリーズでの累計ですが、この『コーチングの神様』が一番売れた本ではないかと思います。単体で何冊売り上げたかは把握していませんが、売れ続けている本です。
尾上 先ほどお話にあった「Thinkers50」とは、ビジネス思想家のアワードみたいものでしょうか。
三田 そうですね。英国のコンサルティング企業が発表しているビジネス思想家ランキングで、最近ではアダム・グラント、ダニエル・ピンクといった人も選ばれています。
尾上 「Thinkers50」のウェブサイトを見ると、ゴールドスミスさんは4回もトップ10に入っていますね。かつ、2018年にはHALL OF FAMEに選ばれています。そしてその年、一緒に殿堂入りしたのが、あのピーター・ドラッカーとマイケル・ポーター。
三田 すごいですよね。このHALL OF FAMEには、2013年に野中郁次郎、フィリップ・コトラー、ヘンリー・ミンツバーグ、トム・ピーターズ、大前研一などが選ばれています。そうそうたる殿堂入りメンバーの1人なのですね。
親日家でもあるゴールドスミス氏
尾上 世界的に著名なエグゼクティブ・コーチで、数々の名著も書かれたゴールドスミスさんですが、来日もされているのですか。
三田 はい、2冊の文庫本を刊行する際、その直前の2023年11月にも来日されました。2日間ほどビジネスセミナーでお話をされたようです。日本には彼のファンが多く、ご本人も日本がお好きなんですよね。なので、よく来日しているのだと思います。
尾上 『コーチングの神様』は2007年に、『トリガー』は2016年に、単行本として刊行されました。そして2024年2月、それぞれ満を持して文庫化されたということですね。
三田 はい、そうなんです。実はゴールドスミスさんの近著『 よい人生は「結果」ではない 』(マーク・ライター共著、斎藤聖美訳/日本経済新聞出版)も2024年10月に出版したので、その際、過去の著作を文庫化して盛り上げたいということで、2冊を同時刊行しました。『よい人生は「結果」ではない』の原題は『The Earned Life』で、仏教の教えにフォーカスしたような内容です。
尾上 なるほど、仏教の教えとは興味深いですね。さて次回は、先ほどゴールドスミスさんが来日されたとのお話がありましたが、その際に動画出演されたということで、そのエピソードなどを伺いたいと思います。
文/三浦香代子 構成/山崎 綾、市川史樹(日経BOOKプラス編集)
