オンラインやSNSでのコミュニケーションが当たり前になり、直接相手に会って話すことに改めて苦手意識を感じる人も多いのではないでしょうか。『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』の著者である藤吉豊さん、小川真理子さん、編集を担当した日経BP・宮本沙織さんを迎え、話し方の悩みを克服するポイントについて聞きました。今回は2回目。(聞き手は、「日経の本ラジオ」パーソナリティの尾上真也)

100冊中70冊に書かれていたこと

尾上真也・「日経の本ラジオ」パーソナリティ(以下、尾上) 『 「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。 』では、話し方のポイントをランキング形式で40項目掲載していますが、まず気になるのが、1位の「会話は『相手』を中心に」です。

小川真理子(以下、小川) 会話は必ず相手がいるものですが、「話し上手は聞き上手」という言葉があるように、「自分がどんどん話すよりも、やっぱり相手の話を聞くことが大切だ」と多くの話し方のプロが言っていて、なんと100冊中70冊にこれが書いてありました。

「人は自分の話を聞いてくれる人を好きになる」──まずは、グッドリスナーであることを心がけたい
「人は自分の話を聞いてくれる人を好きになる」──まずは、グッドリスナーであることを心がけたい
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尾上 1位についてのポイントがさらに3つあり、「話す」よりも「聞く」が大事、相手の意見を否定しない、相手が求めている話をする、と。

小川 どうして「話す」よりも「聞く」が大事なのかというと、理由は3つあります。1つ目は、人は自分の話をいろいろと聞いてくれる人を好きになるからです。話を聞いてもらい、自分に関心を持ってもらうと、自己肯定感がすごく上がります。

 2つ目は自分の知識や見解が深まるから。相手から話を聞くことで、新しい情報が入ってきます。では、「話す」「聞く」の割合はどうしたらいいのかというと、話し方のプロたちの本をまとめてみると、自分が話すのが2〜3割、聞くのは7〜8割ということでした。

 3つ目は相手のニーズを把握できるからです。ビジネスでは相手のニーズを把握し、それを満たす提案が大事ですから、相手の話をよく聞くことでニーズを見極めることができます。

尾上 「アクティブリスニング」についても取り上げられていますね。

小川 アクティブリスニングは、直訳すれば「行動的な聞き方」ですが、ただ黙って聞くのではなく、「あなたに関心がある」と示すためのポイントが6つあります。1つ目はうなずく、相づちを打つ。2つ目はアイコンタクト、相手の目を見る。3つ目が相手の言ったことを繰り返す、おうむ返しにする。4つ目が別の言葉に言い換える。「つまり、それは○○ということですよね」と言い換えることですね。5つ目が質問をする。そして6つ目がメモを取る。このポイントを押さえながら人の話を聞くと、相手が心地よく話してくれます。このアクティブリスニングは「傾聴」ともいわれます。

尾上 相手の意見を否定しない、というポイントについてはいかがですか。

小川 相手の意見を否定しないといっても、相手の意見のすべてに迎合するとか、自分の意見を捨てるということではなく、ちゃんと自分の意見や意向を伝えていくことも大切です。

尾上 2位に「『伝える順番』が『伝わり方』を決める」とあるように、伝える順番も大事なんですね。

藤吉豊(以下、藤吉) そうですね。思い付いた順番に話すと、結局、聞いているほうは結論が分からないこともあります。最初に結論を言ってしまう、あるいは最初に「これから話すことはこういうことですよ」と伝えて、それから深掘りしたり、説明したりすると分かりやすいと思います。

相手から話を引き出すコツ

尾上 それから3位に「話し方にメリハリをつける」。間(ま)を意識したり、語尾をはっきり発音したりするというポイントが挙げられています。

小川 はい。間は「間(あいだ)」と書きますが、数秒間の沈黙があると、聞き手の関心を引きつけるといわれています。例えば「皆さんは、どう思われますか?」(間)「私は、こう思います」と、ちょっと間を取ると人の集中力が増します。大切なことを強調できる、話を覚えてもらえる、記憶に残りやすいというメリットもあります。0.5秒とか、1秒とか、大事なことを言いたいときにはちょっと間を空けると効果的です。

尾上 「語尾をはっきり」とは、どういう意味なのでしょう。

宮本沙織・日経BP編集者 英語だったら「I don't」と初めに伝えるので、否定なのか、肯定なのかすぐに判断できるのですが、日本語は語尾まで聞かないと分かりません。さらに語尾が聞き取りにくかったり不明瞭だったりすると、否定か肯定かの区別がつかなくなってしまいます。声の小さな方にありがちかもしれませんが、「今月は売り上げ目標を達成しま……」みたいに。

尾上 達成したのか、していないのか……。

小川 特にオンラインだと聞き取りづらい可能性があるので、そこはしっかりと伝えていくといいと思います。

尾上 こうしたポイントを押さえると、相手に話が伝わりやすくなるということですね。それから、4位の「『いい質問』で話を引き出す」というのも気になります。

小川 いい質問というのは、相手の話を広げたり、進めたり、深めたりできるものです。例えば、広げるときには「他にどんなことをされていますか」、進めるときには「それでどうなったのですか」「それから何があったのですか」、深めたいときには「どうしてそう思ったのですか」「なぜそうしたのですか」と聞いていくと、相手が具体的に話しやすくなります。

藤吉 やはり会話は自分の話したいことを話すのではなく、相手のことを聞く、相手が話したいことを知るためのもの。いい質問を投げかけて、もっと相手が話したいこと、相手の気持ちのなかにあるものを引き出すことが大事だと思います。

構成/三浦香代子

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