ソフトウエア開発者の新たなキャリアパスを提示して話題となった『 スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ 』(日経BP)の著者ウィル・ラーソン氏が、エンジニアリングマネジャーとして成長して活躍し続けるための秘訣を解き明かしたのが新刊『 エレガントパズル エンジニアのマネジメントという難問にあなたはどう立ち向かうのか 』(同)です。その読み方をエムスリー VPoEの河合俊典氏が解説します。

 米Uberや米Stripeといったテック企業の急成長時に在籍し、ソフトウエアエンジニアやマネジャーとして活躍した著者ウィル・ラーソン氏が、エンジニアリングマネジャーとして成長して活躍し続けるための秘訣をまとめたのが本書です。

 ラーソン氏は自らの経験に基づいて実践的なマネジメント手法を構造化したうえで、それらを「組織」「ツール(手法)」「アプローチ(問題解決)」「文化」「キャリア」に分類、それぞれにおいてマネジャーが遭遇する問題や課題および具体的な対策を分かりやすく解説します。

 例えば、成長する組織は、遅延(人の採用)、現状維持(仕掛かりの解消)、負債返済中(対策時間の確保)、革新(生じたゆとりによる新たな活動)という4段階を経るとし、各状態に応じて、マネジャーが取るべき適切な対策を提示します。

 マネジャーは、個性豊かなエンジニアをまとめ、組織成果を出すことが求められます。その過程で部下の成長をサポートし、自分自身も成長していく必要があります。多彩なステークホルダー(部下や他のマネジャー、上司、顧客……)が関係する複雑なマネジメントの課題を前に、どこから手を着けていいか、そして何をすればいいか、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。そうしたときに本書を紐解(ひもと)けば、解決につながる道筋を見いだす大きな助けになるはずです。

 本書を手に、国内の多くのマネジャーがさまざまな問題や課題を議論し、成長していく姿が目に浮かびます。解決策を実践していく過程では、個々の組織ごとの「応用問題」にぶつかるときもあるでしょう。でも、本書を読み、パズルの解き方を学んだ方であれば、問題の解き方を見つけやすいでしょう。なぜなら、本書が提示するのはマネジメントの基本となる戦略であり、哲学であり、困難な課題を分析・分解し、エレガントに解く技術だからです。その意味で、本書はエンジニアマネジメントを成功に導く思考法を読み解ける内容と言えます。

 この書籍を通して、柔軟で優れたエンジニアリングマネジメントの思考法が広く伝わり、1人でも多くのエンジニアやマネジャーがエンジニアリングの楽しさに気づくきっかけを得られることを期待します。

<評者> 河合俊典(かわい・しゅんすけ) エムスリー VPoE
Sansan株式会社やYahoo!JAPANでのリーダー経験を経て、エムスリー株式会社に入社。AI・機械学習分野でのOSS活動や技術顧問を通じて、国内有数のGoogle Cloud Champion Innovator(AI/ML)に認定。機械学習エンジニアとしてのキャリアの後、Vice President of Engineeringに就任。エンジニア組織のマネジメントに従事。@vaaaaanquish

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