「プロを育てるプロ」として生命保険業界で知られる早川勝氏。成果を出し続けるチームづくりの秘訣をまとめた最新刊『 覚悟を決めたリーダーに人はついてくる 』の魅力について、著名なクイズ番組での優勝経験を持つ異色のベストセラー作家、西沢泰生氏に語ってもらった。いったい何が「このリーダーにならついていきたい」と思わせるのか。その秘密に迫る。
この本の著者、早川勝氏をひと言で紹介するなら、「リーダーの中のリーダー」です。
早川氏は、リーダーも「完全歩合制」という生命保険業界で、30年以上も成果を出し続けてきました。
それこそ、グループの中で営業成績最下位をひた走る支社に支社長として赴任し、あっという間に全国でトップの売り上げをたたき出すチームに育てたこともあれば、2000人近い組織で統括部長を務めたこともある。
そして昨今は、某社の社長から直々にヘッドハンティングされて、事業本部をゼロから立ち上げるという経験もしており、チーム構築のプロフェッショナルでもある。さらに、ご自身が、優秀な人材を街角から発掘するヘッドハンティングのプロでもある…。
そんな早川氏がこれまでに上梓(じょうし)した、「リーダーのための道しるべ」とも呼べる著書はすでに20冊を超え、その多くが「リーダーとしての覚醒」をうながすものになっています。
本書のタイトルは、『覚悟を決めたリーダーに人はついてくる』。
タイトルにあるように、「リーダーに、リーダーとしての覚悟をうながす」本。いわば、リーダーという仕事に腹をすえて取り組む方法が書かれた一冊です。
言うまでもなく、現代は、リーダー不遇の時代です。
熱心に指導したつもりでも、パワハラと受け取られて、部下はあっさりと会社を辞めてしまいかねません。かといって、自由にさせていると、勝手に突き進んでとんでもないミスをしでかし、その責任は上司である自分が背負い、会社から「無能なリーダー」というレッテルを貼られる…。
早川氏は、そんななか、やる気のない部下の心にも火をつけて、最強のチームを作り上げ続けてきました。
「いや、今どき、火傷(やけど)しそうな熱い指導がうまくいくわけはない」と思われた方。もちろん、そんな、うわべだけの薄っぺらな熱血リーダーには、ドライで実は狡猾(こうかつ)な部下たちがついて来ないことは、早川氏は百も承知です。
早川氏は、「強いチームを作るための大原則」は、リーダーがチームメンバーと「正対すること」だと言い切っています。
「正対」とは、文字通り「正しく対する」こと。もっと言えば、「お互いの立場を尊重しながら、人同士、対等な関係で接する」ということ。
本書では、
チームメンバーに何を意識させ、どんなチームを作ればよいのか?
部下をやる気にさせるために、どんな仕掛けをすればよいのか?
そもそも、部下たちはリーダーに何を望んでいるのか?
リーダーの本当の役割とは何なのか?
リーダーが陥りやすい落とし穴とは?
リーダーがやってはいけないこととは?
チームの目標を達成するために、リーダーがやるべきことは?
部下を成長させる「1on1(個人面談)」とは?
などについて、経験に裏打ちされた貴重なノウハウをつまびらかに説明してくれています。
その中身は、「部下のプライベートにどこまで関わるか?」「思考停止の部下をどう扱うか?」「部下と上手に、もたれ合う方法」「デキる部下とデキない部下への仕事の割り振り方」「正しい叱り方」など、極めて具体的。
本書に書かれたノウハウを実践することで、早川氏は、大きな成果を上げて、なおかつ、離職率の低い組織を実現しているのです。
蛇足ですが、私個人としては、「リーダーの孤独との付き合い方」について書かれた『群れない、媚(こ)びない、馴(な)れ合わない』の項が面白かった。そして、最後に登場する、「立ちなさい! 研修」のエピソードには、感動しました。
私は早川氏と何度がお目にかかり、杯を交わしたことがあります。
そんなときの早川氏は「営業の鬼」とは別の顔。気さくで話し好き。そして、何よりも聞き上手。「リーダーとして、常に『メンバーをどれだけ楽しませるか』ということに気を配っている」とおっしゃるだけあって、細かな気づかいも半端ない。
「もし、自分が早川氏の部下だったら」と想像すると、素直に「このリーダーにならついていきたい」と思わせるオーラを感じさせてくれます。それは、おそらく、表情や言葉の端々に、真のリーダーとしての信念と覚悟と自信がにじみ出ているからなのではないかと思っています。
本書に興味を持たれる方は、おそらく、部下を束ねる「リーダー」と呼ばれる立場にあり、「どうやって部下をまとめ、成果を出すか?」と悩んでおられることと思います。
そんなあなたには、ぜひ、本書を読んでいただきたい。
読み終える頃には、それまでの悩みが消え去り、「リーダーとしての覚悟」とともに「リーダーとしてのやる気」がみなぎっている自分に気がつくはずです。
そして、本書を座右の銘として手元に置き、リーダーとしてのテンションが下がったときには、ふたたび目を通せるようにしていただきたいと思います。
