プログラマーとして活躍するにはコンピューターサイエンス、なかでもアルゴリズムとデータ構造の基礎知識が欠かせません。「独学プログラマー」であれば、誰もが知っておくべき基礎知識が身に付いているかどうかはなおさら気になるでしょう。その基礎知識をPythonコードと図でやさしく教える 『独学コンピューターサイエンティスト Pythonで学ぶアルゴリズムとデータ構造』 を、カーニハン本の訳者にしてソフトウエア開発者の酒匂寛さんが読み解きます。
かつて『アルゴリズム+データ構造=プログラム』という名著があった。40年以上前に書かれたこの本は、その名の通り、本格的なプログラミングを行う際に理解が欠かせない「データ構造」(プログラムが扱う情報の構造)と、そのデータ構造を扱うためのレシピである「アルゴリズム」を解説した内容だった。
今回出版された『独学コンピューターサイエンティスト』は、いわば現代版『アルゴリズム+データ構造=プログラム』だ。先に出版された同じ著者のベストセラー 『独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで』 が、本当の初心者のためのPythonそのものの解説が中心だったのに対して、姉妹編となる本書は言語そのものではなく、その上に積み上げられるべきプロとして通用するためのしっかりとした基礎を、Pythonを使って独学できる良書となっている。
「独学」というタイトルは伊達(だて)ではない。単に「こうできる」だけではなく、「なぜこうするのか」「どのような時にそうするのか」が丁寧に解説されている。そのため学んだ知識は、Pythonに縛られることなく、幅広く応用することが可能だ。一生の宝物となるだろう。
監訳者の方の手による訳注コラムや補章も読み応えがある。特に補章3「継続して学ぶために」では、より深く知るための書籍等が紹介されており、その章タイトル通り、継続して学ぶための良い道しるべになるであろう。