コンピュータ・システムに感染して障害を起こし被害を与えるランサムウエア(身代金要求型ウイルス)。個人から大企業に至るまでIT活用の大きな脅威になっています。ランサムウエアを使う犯罪者集団と、それに立ち向かうはみ出し者たちの活躍を描いたノンフィクション『 ランサムウエア追跡チーム 』を、ラック サイバー救急センター長の関宏介氏が読み解きます。
無機質なばらまき型攻撃ではなく、人の手が介在した執拗な侵入痕跡を初めて調査したとき、銃口を向けられていることに気づいたような、ゾワリとした緊迫感を感じたのを今も覚えています。膨大な報道調査や取材を基に、ランサムウエアの攻撃者と追跡チームの戦いを描いた本書は、その感覚を鮮烈に伝えてくれる一冊です。
近年、ランサムウエアはただの技術的な挑戦から、組織化された犯罪へと変貌を遂げています。その動向を捉えた本書は、攻撃者がどれだけのモチベーションを持って対象を狙い、計画を練り、攻撃を仕掛けるか、を詳細に描き出します。加えて、具体的な被害額と共に描写された各事例を読むと、私たちは対策にどれだけのリソースや考慮を投じるべきか、そのあり方と重要性を痛感させられます。
攻撃者の手口を知り対策に役立てるといった、真面目な知見を得られるだけでなく、通常なら見えてこない攻撃者の事情や追跡チームとの戦いを知るのは、警察密着番組のような好奇心を満たす面白さも感じられると思います。
攻撃者の視点を理解し、それに基づく防御策を強化するための知識を得るなら、本書を手に取ることを強くお勧めします。
