「勉強法の本はたくさんあって、まずどれを読んだらいいか分からない」「自分に合う勉強法を知りたい」。こうした悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。新刊 『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』 (日経BP)を、名著100冊にも含まれているベストセラー『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)の著者で東京大学教授の柳川範之さんが読み解きます。
「いやあ、こんな本書かれてしまうと、困ってしまうなあ」というのが、勉強法の本を書いている著者の端くれとしての正直な感想だ。なんといっても、様々なジャンルの著者が書いた勉強法のベストセラー本100冊のエッセンスが詰まっているのだから、役に立たないわけがない。
しかも、100冊の本の要点が、順番にまとめられているという単純な本ではないのだ。まずは、多くの本で共通に語られている重要なノウハウ8つが説明される。その内容については、敢(あ)えてここでは触れないけれど、どれも、「なるほどなあ、皆、こういう点は強調しているんだなあ」という、著者目線でみても納得するノウハウばかりだ。
ただしこの本は、どの本にもあらわれるランキング上位のキーワードやポイントを紹介しているだけでもない。むしろ、ランキングがそれほど高くないキーワードを丁寧に説明している点に、特徴があり魅力があるように思う。たとえば、20位は「『五感』を総動員して学ぶ」だが、いくつかのベストセラーで取り上げられている五感の使い方が、具体的に説明されていて、役に立つ。
また、後ろの付録には、「『学びのしくみ』を最初に理解しておこう」という解説がされていたりとか、勉強法のポイントを、勉強のステップごとに整理し直している解説があったりするなど、読者に寄り添った形での丁寧なアドバイスが満載である。というわけで、本書1冊で、相当な情報量が得られるし、多くの読者にとって実用的で役立つに違いない。だから、ホント、困ってしまうんですよねえ、こんな本が出版されると、、、、。
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