就活・転職活動時の業界・企業研究に、ビジネスパーソンの日々の業務に、活用している人が多い『日経業界地図 2025年版』(日本経済新聞社編/日本経済新聞出版)。今回は、大手コンサルティングファームのKPMGコンサルティングで広報を担当している大月新介さんに、ビジネスでの具体的な活用法について伺いました。
KPMGコンサルティング マーケティング&コミュニケーション シニアマネジャー
さまざまな業界の基礎知識を得る
私はKPMGコンサルティングで広報を担当しています。担当する業務は、KPMGが実施したさまざまな調査レポートや当社の新たなサービス展開などに関するプレスリリース、メディア関係者向けの勉強会や記者発表会の企画運営、そして取材対応などです。メディア各社とのコミュニケーションが主な役割です。
私が『日経業界地図』を使い始めたのは、前職時代のことです。新卒で小売業のフランチャイズチェーン本部に入社し、長らくスーパーバイザー(SV)など店舗運営に関わる業務を中心に担当していましたが、2008年に広報部門に異動したことがきっかけでした。
そのとき勤めていた企業は、当時、鉄道や銀行、ドラッグストアなど、さまざまな業界の企業とのアライアンスに積極的でした。広報担当者としてそれらのアライアンスに関する発表資料を作成したり、メディア関係者の方からの問い合わせに対応したりするなかで、普段意識していないような業界にも最低限の知識が必要だと痛感しました。「さまざまな業界を俯瞰(ふかん)できるような資料はないか」と探していたところ、『日経業界地図』に出合ったのです。
それまでは現場ばかりを見ていたため、『日経業界地図』は自身の視野を広げるきっかけになりました。自社の事業だけではなく、原材料や製造、物流などといった関連業界の知識を得ることで、サプライチェーン全体を理解することができ、より深く自社の商品やサービスの説明ができるようになったと思います。
各業界の状況が視覚的に理解できる
その後、職場は変わりましたが、『日経業界地図』の使い方は以前とほとんど変わっていません。
当社はコンサルティングファームとしてさまざまな業界に向けてサービスを提供しており、それらに関するプレスリリースなどを作成したり、メディア関係者向けの勉強会などを実施したりしていますが、業界ごとの大きな流れが頭に入っていると、準備をする際に社内のコミュニケーションがより円滑に進みますし、何よりメディア関係者とのコミュニケーションにおいて、より深い説明ができるようになります。
そのため、オフィスでは、すぐ手に取れる場所に『日経業界地図』を置いています。まずは調べたい業界のページを見て基本的な情報を得たうえで、直近の情報はインターネットや専門媒体などで調べて補うといった方法で、必要な知識を得ています。
各業界のページを見るときは、まずはメインの「業界地図」から入ります。どのような企業がこの業界を構成しているのか、全体感が一目で分かりますし、各企業の関係性や規模感なども視覚的につかめます。そのうえで、「基礎知識」「最近の動向」といった文章を読むことが多いです。
業界名の右端と下にある「業界規模」「ポイント」にも目を通して、業界の規模感や現状を把握することに活用しています。また、掲載スペースの大きい業界に入っている「業界年表」は時系列で業界の動きを整理する際に活用しています。同じような情報を自分で集めようとすると、時間と労力が相当かかってしまいます。
最新のテーマやキーワードを深掘り
最新の2025年版では194業界を取り上げていますが、業界は細分化するほど全体感がつかみにくくなるような気がしています。ただ、『日経業界地図』の場合は、例えば、「次世代モビリティ」や「生成AI」など、今後さらに関心が高まるであろうテーマの業界が数多くピックアップされ、業界を横断してプレイヤーが多数紹介されているので、時間が空いたときに何気なくでも目を通すようにしています。
巻頭特集にも注目をしています。例えば2025年版では、「有望な『100の技術』」「テクノロジー期待度番付」「IT業界新卒就職人気企業ランキング」「世界No.1企業はここだ!世界シェア71品目」という4つの特集があります。特に「有望な『100の技術』」は最新トレンドを押さえたキーワードの解説記事で、「最近耳にするようになったけれど、どういうものなのだろう?」と思っていたものが多数ピックアップされていて、日々のニュースを理解する際の基礎知識として活用しています。
また、当社ではグローバルに事業を展開する多くの日本企業をご支援しており、視野を広げるべく、「世界シェア」の記事も非常に興味深く読んでいます。
広報の仕事に就いてから常々感じているのは、短い文章の中で意図を伝える難しさ。プレスリリースは、紙にするとA4用紙で数枚程度です。たとえ大がかりな調査を基にした情報量の多い調査レポートであっても、この枠に凝縮させなければなりません。『日経業界地図』からは、必要な情報を短い文章に収め、かつ端的に伝えるコツも学んでいます。
複雑化する業界地図
私は、各ページをながめるだけで業界全体を俯瞰して捉えることができる、今のページ構成が気に入っています。情報量があまりに多過ぎると、かえって全体をつかみにくくなってしまう印象です。
以前は大手企業を中心に業界地図ができあがっていましたが、近年はどの業界にも参入するプレイヤーが増え、特に異業種から参入する企業も多数あって複雑化しています。『日経業界地図』での業界の区切り方、業界地図の描き方も難しくなっていると思いますが、「今の日本経済のトレンド」を知るための1つのヒントになるのではないでしょうか。これからも充実した誌面づくりを期待しています。
取材・文/伊藤理子 写真/鈴木愛子
毎年大好評の『日経業界地図』最新版。日経新聞の記者が総力取材した194業界、4800企業・団体を収録。業界ごとに、企業の提携・勢力関係を図解で示し、今後の見通し、注目のキーワードなどを解説します。業界の基本が1分で分かります。
日本経済新聞社編/日本経済新聞出版/1870円(税込み)




