年末年始の休みにはゆっくり読書をしたいという方も多いのではないでしょうか。そこで、「日経の本」の作り手が30人以上も所属する日経BOOKSユニット第1編集部を率いる赤木部長に、全力でお薦めしたい同僚が作った本を聞きました。

中川ヒロミ(以下、中川):毎日ばたばたしているうちに、あっというまに年の瀬。年末年始こそはゆっくり本を読みたいものです。「日経の本」も面白いものがたくさん出ていますので、赤木部長、「これを読まないと2024年は始まらない!」というお薦めの本を教えてください。

年末年始にお読みいただきたい「日経の本」、たくさんご用意しております
年末年始にお読みいただきたい「日経の本」、たくさんご用意しております

赤木裕介(以下、赤木):それでは、3つのテーマに分けてご紹介しましょう。(1)2024年を先読みする本、(2)新年にスタートダッシュするための本、(3)ボーナスシーズンに考えたいお金の本──です。

中川:赤木さん、いつもながら準備万全ですね。では、早速2024年の先読みができる本からお願いします。先読み、ワクワクしますね。

赤木:まず、『 これからの日本の論点2024 日経大予測 』です。日経新聞のベテラン記者による、予測本の定番シリーズです。2024年の世界の動き、企業や政治・経済、株価などの先行きを見通しています。個人的には、「人手不足が加速し、賃上げ競争が続く」という項目に引かれました。コストコがパート・アルバイトの時給を1500円以上に引き上げた、というニュースが話題になりましたが、良い人材の争奪戦はこれからますます厳しくなりそうです。ちなみに、移籍が決まった野球の大谷翔平選手の報酬を時給換算すると100万円を超えるらしいですが……。

中川:弊社のお給料も上がるといいですねえ。大谷選手ほどなんて言いません。まずは、『これからの日本の論点2024』を読みます。

『これからの日本の論点2024 日経大予測』(日本経済新聞社編)。先行きをしっかりと
『これからの日本の論点2024 日経大予測』(日本経済新聞社編)。先行きをしっかりと

赤木:続いては、外資系コンサルが経営の重要ポイントを先読みする2冊です。

 『 BCGが読む経営の論点2024 』は、ボストン コンサルティング グループのトップコンサルタントが、2024年の経営ポイントを解説するもの。面白かったのは、生物多様性について触れた項目で、最近は「生物多様性への取り組み」を経営者が問われることも多いそうです。脱炭素のための取り組みが、かえって生態系を壊してしまうこともあったりして、一筋縄ではいかないと考えさせられました。

『BCGが読む経営の論点2024』(ボストン コンサルティング グループ編)。変化への対応を
『BCGが読む経営の論点2024』(ボストン コンサルティング グループ編)。変化への対応を

 『 A.T.カーニー 業界別 経営アジェンダ 2024 』は、A.T.カーニーのコンサルタントたちが、「通信」「メディア」「銀行」「小売」など、14の産業分野で起こるであろう変化について解説しています。自分が属している業界はもちろん、他の業界にも参考になることが書いてありますので、ざっと眺めてみるだけでも役に立つと思います。

『A.T.カーニー 業界別 経営アジェンダ 2024』(A.T.カーニー編)。14分野を広い視野で
『A.T.カーニー 業界別 経営アジェンダ 2024』(A.T.カーニー編)。14分野を広い視野で

中川:年末年始に他業種や他分野のこともまとめられた本を読んでおくと、2024年の仕事に役立ちそうですね。他分野の情報という意味では、『 日経テクノロジー展望2024 世界を変える100の技術 』も多くの分野の注目技術が掲載されています。今年話題になった生成AIもまとめて理解できますし、年末年始に久しぶりに会う人に本書に登場する「二酸化炭素を吸収できるコンクリート」などの技術の話をすると、「賢くなったね」と思ってもらえるかもしれませんね。

『日経テクノロジー展望2024 世界を変える100の技術』(日経BP編)。新たな芽をいち早く
『日経テクノロジー展望2024 世界を変える100の技術』(日経BP編)。新たな芽をいち早く

新年にスタートダッシュする本

中川:さて、次のテーマは「新年にスタートダッシュする本」ですね。私も毎年、今年こそはダイエットしようとか、英語を勉強しようとか思いますが、だいたい思っただけで終わります。2024年はもう少しちゃんとした人になりたいので、とても興味があります。

赤木:私は2023年の正月は新型コロナで伏せっていたので、2024年は新年からバシッといきたいな、と(現時点では)気合が入ってます。

 そこでお薦めしたいのが、日経ビジネス人文庫でベストセラー街道ばく進中の『整える習慣』『リセットの習慣』に続く第3弾、『 はじめる習慣 』です。著者の小林弘幸先生自ら「私の集大成となる本です」とおっしゃるだけあって、本当にいい内容なんです。続かなくたっていい、はじめるということ自体に価値がある、というメッセージが胸に響きます。

『はじめる習慣』(小林弘幸著)。拳に「はじめるぞ!」の決意を込めてみました
『はじめる習慣』(小林弘幸著)。拳に「はじめるぞ!」の決意を込めてみました

 『 創造する人の時代 』は、ソニーでプレイステーションの開発に携わってきた茶谷公之さんによる自己啓発書です。テクノロジーの進化によって、つくることへのハードルは下がっている。AIに仕事を奪われたくなかったら、自分の得意分野を見つけて何かをつくれる人になろう、という内容です。「チャンスをつかめる人とそうでない人の2つの違いとは」という記事にもある通り、まずは楽観的に構えてチャレンジすることが大切だそうです。年始で気分が高揚した勢いで、「つくること」を「はじめる」というのもいいかもしれませんね。

『創造する人の時代』(茶谷公之著)。テクノロジーの変化を味方に
『創造する人の時代』(茶谷公之著)。テクノロジーの変化を味方に

中川:私は『はじめる習慣』の「はじめに」に感動しました。こういう巻頭言からはじまる本を私も作りたい。「今日が一番若い。今日が新しい人生のはじまり。」というフレーズが何度か登場するのですが、はじめられない人を勇気づけて励ましてくれる本当にすてきな文章です。ぜひ読んでいただきたいです。

『はじめる習慣』の「はじめに」。きっとあなたの背中も押してくれるはず
『はじめる習慣』の「はじめに」。きっとあなたの背中も押してくれるはず

赤木:さて、続いていまどきの問題に立ち向かうにあたっての「気づき」を与えてくれる本をご紹介したいと思います。

 『ゆるい職場』が話題を呼んだ古屋星斗さんの最新刊が『 なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学 』です。ブラック職場が規制され、ホワイトで心理的安全性が高い職場が増えました。だからといって、若手の満足度が高まったかというと、そうでもない。「Z世代は職場の飲み会を敬遠する」「今どきの若者は仕事にガツガツしていない」という、どうでもいい俗説に振り回されるのはやめて、きちんと個人個人が成長できる環境を用意しましょう、というのがこの本の主張です。部下や後輩とのコミュニケーションに不安を持っているみなさんに、ぜひお読みいただきたいです。

中川:若手の人たち、自分の若い頃と比べても、やる気がある人も多くて素晴らしいなあと思います。もはや若手じゃない我々も勉強になりそうな本です。

『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』(古屋星斗著)。俗説に惑わされないために
『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』(古屋星斗著)。俗説に惑わされないために

赤木:一方で若手もそうじゃない人も多くの日本の現場が、経営層からの「むちゃ振り」に悩まされていることと思います。『 戦略の要諦 』は、戦略の大家であるリチャード・ルメルト氏が、経営層の勘違いを一刀両断し、本当に重要なポイントとは何かを明快に解説します。「ミッションやパーパスの策定は無駄である」「経営者の願望と戦略は分けて考えるべし」「業績目標の進捗状況チェックに時間をかけてはいけない」「グループで戦略を立ててもうまくいかない」なんていう金言がたくさんあって、多くの日本の経営者がこの本を読んでくれれば、現場への無駄な要求も減って、生産性も上がるのになあ、と思う1冊です。

中川:某編集者が「進捗管理は無駄とルメルトさんが言ってましたよ、僕は言ってませんよ」と教えてくれました。

『戦略の要諦』(リチャード・P・ルメルト著、村井章子訳)。経営層の勘違いを一刀両断
『戦略の要諦』(リチャード・P・ルメルト著、村井章子訳)。経営層の勘違いを一刀両断

ボーナスシーズンに考えたいお金の本

中川:では、3つ目のテーマにいきましょうか。「ボーナスシーズンに考えたいお金の本」ですね。2024年1月から新NISA制度も始まりますし、年末年始にお金について学びたい方も多そうです。

赤木:書店のマネー本コーナーもにぎわっていて、みなさんどれを選べばいいのか迷っているんじゃないでしょうか。ここでご紹介するのは、そんな中でも特に信頼できるタイトルです。

 『 間違いだらけの新NISA・イデコ活用術 』は、日経の人気マネー記者、田村正之さんの本です。「所得がない主婦(夫)は、イデコを使っても利点がない」「配当利回りが高いほど有利」というような通説について、データを使いながらきちんと検証していきます。資産運用と経済の動きに詳しいジャーナリストだから書ける内容で、実際に新NISAを使い始める前にチェックしておきたい1冊です。

『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(田村正之著)。あなたに合う選択は?
『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(田村正之著)。あなたに合う選択は?

 『 1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト 』は、実際に1000万円をためた女性たちの声を集めて、「やってみてよかったこと」「やめてよかったこと」をリストアップしています。多くの人の実体験に基づいているので、しっかり腹に落ちる内容になっています。ちなみに「家計簿をつける」は、「やったこと」「やめたこと」両ランキングの上位に入っています。どんな違いがあるのか、比べてみると面白いです。

『1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト』(永田雄三著)。親しみやすく分かりやすく
『1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト』(永田雄三著)。親しみやすく分かりやすく

 『 個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77 』は、人気ブロガーのエナフンさんこと奥山月仁さんの新刊です。「普通の投資家」ならではの強みを生かして、大化け株を探して長期保有する。SNSやネットに氾濫する情報には惑わされず、基本に忠実に投資する。普通のサラリーマンから「億り人」になったエナフンさんだからこその地に足のついた語り口が魅力の1冊です。

『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(奥山月仁著)。基本を大切に
『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(奥山月仁著)。基本を大切に

中川:新NISA開始もあり、役に立ちそうなお金の本が目白押しですね。『1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト』の記事「『貯金下手』ほど、意志の力に頼ってはいけない理由」は、私のようにずぼらな人には説得力がありました。

赤木:最後に『 「日経平均10万円」時代が来る! 』です。こちらは2024年1月発売予定の藤野英人さんの新刊です。電子書籍を先行発売しますので、いち早く読みたい、という方はぜひポチってください。

中川:おお、10万円ですか!

『「日経平均10万円」時代が来る!』(藤野英人著)。ぜひ!
『「日経平均10万円」時代が来る!』(藤野英人著)。ぜひ!

赤木:景気がいいですよね~。この本だけではなくて、いろいろな方が「来年こそ日経平均のバブル超えがあるかも」と予想しています。私もボーナスを投じてDCブランドで決めようかと思案しているところです。

中川:DCブランド、年齢が分かっちゃいますね。

赤木:2024年も、たくさん良い本をご紹介できればと思います。それではみなさま、良いお年をお迎えください!

2024年のスタートダッシュ、「日経の本」がしっかりサポート致します
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