第3回ではクイックアクセスツールバーへのコマンド登録の手順をご紹介しました。ここに登録するコマンド次第で、業務効率の大幅な改善が可能です。ここではその一例として、データの転記作業を素早く進める操作を演習していきます。このコラムは『 カリスマYouTuberが教えるExcel超時短メソッド 』(Office HARU著、日経BP)よりお届けします。

【目次】
知らないと損するExcel超時短メソッド
第1回  Excelで複雑な数式を使わずにデータを一瞬で分割・結合する方法
第2回  Excelで条件に「当てはまらない」データを即座に選択する方法
第3回  Excelであらゆる機能をたった2つのキーで実行する方法
第4回  Excelの保護ビューを素早く解除する方法
第5回  Excelで「空白」をパスして範囲選択する方法
第6回  Excelで表示されているデータだけを選択してコピーする方法
第7回  ExcelでSUM関数を最速で入力する方法
第8回  Excelでフィルターの適用と条件の指定を同時に実行する方法
第9回 Excelのクイックアクセスをフル活用したコピペ方法

左手はコピペとウィンドウ切替、右手は移動と選択

 あらかじめ、クイックアクセスツールバーにコマンドを登録しておきます。ここでは左から[コピー]、[貼り付け]、[値の貼り付け]の順に登録します。それぞれ、[Alt]+[1]、[Alt]+[2]、[Alt]+[3]で実行できます。

 データのコピー元のブックと、貼り付け先のブックの両方が開かれている状態で、[Alt]→[W]→[A]→[Enter]の順に押します。

 2つのブックが左右に並びました。今回は、右のマスターデータから左の管理表に実績値を転記していきます。

 [Alt]+[Tab]でマスターデータのブックをアクティブにします。

 転記するデータ範囲を選択します。このとき、キーボードの右側に配置されている[Shift]キーを使うようにしましょう。

 [Alt]+[1]でコピーします。

 [Alt]+[Tab]で管理表のブックをアクティブにします。

 貼り付け先のセルにカーソルを合わせます。

 [Alt]+[2]でペーストします。

 このとき、マスターデータの書式も含めてコピーされることにご注意ください。

 書式を引き継ぎたくない場合は、[Alt]+[2]の代わりに[Alt]+[3]で値として貼り付けます。

 後はこれの繰り返しです。ウィンドウをマスターデータに切り替え、データ範囲をコピーします。

 ウィンドウを管理表に切り替え、指定の場所に貼り付けます。

 一連の操作を振り返ってみましょう。キーボード上で見ると、コピー&ペーストとウィンドウ切替の操作はすべて左手で、セル移動や範囲選択の操作はすべて右手で完結していることがわかります。左手の親指を[Alt]キーに据え置けば、残る4指でその他のキーへ無理なくリーチできます。

 一般的なショートカットキーである[Ctrl]+[C]でコピー、[Ctrl]+[Tab]でウィンドウ切替、[Ctrl]+[V]で貼り付けを行う場合は、各キーの距離が離れているため、どの指を基点にしても左手の負荷が大きくなります。さらに、値の貼り付けや数式の貼り付けといった応用も利きません。

 [Alt]キーを活用したコピペ術を覚えておけば、指先の可動域が少なく、貼り付け形式も柔軟に選択できます。Excelには、1つのコマンドを実行するのにいくつものやり方がありますが、作業に応じて適切な操作を選択できれば、業務効率の改善につなげられます。「コピーといえば[Ctrl]+[C]」「貼り付けといえば[Ctrl]+[V]」と決めつけず、さまざまな操作を柔軟に試してみるといいでしょう。

 ここで紹介したメソッドは、以下の動画でも確認できます。

YouTubeの 【Excel講座】コピー&ペーストの超高速化★Step.3 です。