文系から独学でデータのスペシャリストの道に進み、データコンサルティングを行う会社、データビズラボを起業するという異色のキャリアを持つ永田ゆかりさん。『 データ分析のリアル まるごとQ&A 』(日本経済新聞出版)を含めて2冊の著書を持つ永田さんに、独学の方法や体調管理に役立つ本を挙げてもらいました。

認知バイアスを利用する

 前回 「永田ゆかり 文系から独学でデータ専門家に、学びを深めた本」 では独学でデータスキルを学んだことをお話ししました。今回は経営者として仕事を進める中で役に立っている本を紹介したいと思います。

 まず、1冊目はふろむださんの『 人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている 』(ダイヤモンド社)です。著者のふろむださんは人気ブロガーとして「分裂勘違い君劇場」を執筆。リアルでは複数の企業を創業し、そのうちの1社は上場も果たしているというプロフィールをお持ちです。この本も発売当時に話題になり、「平積みされて書店が黄色に染まった」と言われたので、覚えている方もいるかもしれません。

いたって真面目な認知バイアスの入門書『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』
いたって真面目な認知バイアスの入門書『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』
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 タイトルと表紙は過激なのでよく誤解されますが、内容はいたって真面目な認知バイアスの入門書です。

 人間は、認知バイアスのせいで、知らず知らずのうちに、認識や判断にゆがみや誤りが生じることがよくあります。それを回避するために、認知バイアスについて一通り理解しておくことが、仕事でも生活でも重要です。

「認知バイアスについて一通り理解しておくことが、仕事でも生活でも重要」と話す永田さん
「認知バイアスについて一通り理解しておくことが、仕事でも生活でも重要」と話す永田さん
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 しかし、認知バイアスは抽象的で分かりにくいものです。この本は、そうした認知バイアスが、誰でも、直感的に、短時間に理解できるように工夫して書かれています。仕事のクオリティを上げるためにはメタ認知が欠かせませんが、この本のおかげで、認知バイアスという視点からも、自分の思考のクセや判断のゆがみをチェックし、修正しやすくなりました。

同じ分野を10冊買ってポイントだけ読む

 続いて2冊目もふろむださんの『 最新研究からわかる 学習効率の高め方: 英語学習者、受験生、教員、親向け 』です。この本は電子書籍のみで、全5巻のうちの第1巻です(第2巻以降はPDFのみで提供)。ふろむださんが学習法に関する論文を幅広く読み込み、そのポイントについて紹介されています。

学習法を解説した『最新研究からわかる 学習効率の高め方:英語学習者、受験生、教員、親向け』
学習法を解説した『最新研究からわかる 学習効率の高め方:英語学習者、受験生、教員、親向け』
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 私も独学でデータを勉強してきたので、この本を読んで「このやり方は正解だったんだ」「ここはもっとこうすれば良かったのか」といった答え合わせができ、心強く感じました。何よりも「生産性高く勉強するとは、こういうことか」と腹落ちしました。タイトルに「英語学習者」とありますが、英語以外の勉強をしている人にもお薦めです。

 全5巻もあり、内容がどんどん難しくなるので、今はやりの「タイパ」「コスパ」には反しているかもしれません。私も2週間ぐらいかけ、内省しながら読み込みましたが、その分、読み終えたときの充実感は格別でした。

 ただ、普段は1冊を読み込むというよりも、「多読・拾い読み派」です。私は文系からデータの世界に進んだこともあり、「このぐらいは知っておかなければ」という焦燥感が常にあります。そのため、学びには時間を割きますし、本もよく読むのですが、知りたい分野の本を10冊ぐらいまとめ買いして、気になる箇所を片っ端から読み込みます。

 以前は「本を買ったからには全部読まなくては」と思っていたのですが、ポイントを拾い読みするほうが効率的だと分かりました。それに何冊か同時進行で読むほうが、「このキーワードはこんな捉え方もあるのか」といった発見もあります。読書は完璧主義をやめたほうがはかどるかもしれません。

今年、一番影響を受けた本

 最後は最近、一番影響を受けた『 脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方 』(ジョン・J・レイティ、エリック・ヘイガーマン著/野中香方子訳/NHK出版)です。この本は、私がファンである経済評論家の勝間和代さんと精神科医の樺沢紫苑さんが紹介されていたので、手に取りました。

勝間和代さんと樺沢紫苑さんが紹介していたという『脳を鍛えるには運動しかない!』(写真:スタジオキャスパー)
勝間和代さんと樺沢紫苑さんが紹介していたという『脳を鍛えるには運動しかない!』(写真:スタジオキャスパー)
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 誰もが「適度な運動をすると気分がスッキリする」と感じていると思いますが、なぜそう感じるのか、脳と運動にはどのような関係があるのか、本書ではそれを脳科学的な視点から詳しく解説しています。

 私には2冊の著書がありますが、1冊目の本を執筆していたときは深夜遅くまで書いたり、食事や運動に気を配れなかったりして、体調を崩してしまいました。

 しかし、2冊目の執筆は本書を読んだ後だったので、運動時間を確保し、食事や睡眠にも気を付けたおかげで、万全のコンディションで望めました。今まではどうしても運動する時間を後回しにしがちでしたが、「どんなに忙しくてもジムに行く時間は確保する」「週に3回は運動する」といった健康のルーティンができています。

 忙しいビジネスパーソンのみなさんにこそ、ぜひ読んでもらいたい1冊です。

永田さんの2冊目の著書になった『データ分析のリアル まるごとQ&A』(日本経済新聞出版)(写真:鈴木愛子)
永田さんの2冊目の著書になった『データ分析のリアル まるごとQ&A』(日本経済新聞出版)(写真:鈴木愛子)
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取材・文/三浦香代子 取材・構成/栗野俊太郎(日経BOOKSユニット)

データで組織を変えたい人、必読

本書はデータ分析プロジェクトの「攻略本」です。プロジェクトの検討段階から、社内への浸透・活用まで幅広くカバー! 企業内外で直面する78の課題に、Q&A形式で答えます。

永田ゆかり著/日本経済新聞出版/2750円(税込み)