AIを活用できる企業とそうでない企業の格差は広がる一方だ。データ・AIを活用できている企業には、どういった特徴があるのだろうか? 実例ベースの組織変革方法を、アクセンチュアのAI部門責任者、保科学世氏が解説。 『データドリブン経営改革』 (日本経済新聞出版)から抜粋・再構成してお届けする。
データ活用の4つのステージ
あなたの企業は、データ活用、AI活用においてどのステージにいるだろうか?
ステージ0:KKD(勘・経験・度胸)で業務を遂行する組織
ステージ1:データの集計と可視化をしている組織
ステージ2:統計的な分析結果を活用している組織
ステージ3:AIを活用した組織
それぞれのステージがどのようなステージなのか、具体的に見ていこう。
◆ステージ0:KKD(勘・経験・度胸)で業務を遂行する組織
データがそもそも蓄積されていない、または蓄積されているが活用可能な状態になく、データに基づく業務がなされていない組織。
勘・経験・度胸で業務を遂行しているため、このステージにある組織はデータ活用の余地が非常に大きい。
◆ステージ1:データの集計と可視化をしている組織
ビジネス上発生する各種のデータが蓄積され、データを可視化した上で、そのデータに基づいて業務を遂行している組織。
KKDからの脱却という意味では、大きな一歩を踏み出している。ただ、現状を可視化した段階で、数値の裏にある背景の理解や、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)と個々のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は、結果としての数字が見えているにすぎない。
◆ステージ2:統計的な分析結果を活用している組織
蓄積されたデータを基に、統計的な分析も組み合わせながら、現状のビジネス課題の原因と対策を分析し、その分析結果を業務に活かしている組織がこのステージだ。
単なるデータの可視化に留まらず、背景や各種データ間の相関まで見ることで、現状を正しく理解し、適切なアクションを実行できる状態にある。
ただし、AI技術までは活用できていないため、予測精度自体は高いとは言えず、さらに目標を達成するために、例えばどのタイミングでどの商品をいくらで売るのが最も利益が大きいのか、といった最適化計算をリアルタイムで実施するまでは難しい。
◆ステージ3:AIを活用した組織
データやAI(機械学習)を活用しながら将来の予測を実施し、予測に基づいた業務最適化がなされている組織がこれにあたる。
さきほどの例で言えば、最も利益率が上がる価格設定の仕方を計算したり、最適な発注を機械が自動で行ったりする状態だ。
このステージにある企業は、データの蓄積から力を引き出す仕組みまでは整備されており、あとはそのデータからAIの業務活用までの流れを、より幅広い業務範囲で全社にスケールできるかどうかが問われる。
AIを活用している企業は全体の2割以下
4つのステージを定義したが、データおよびAI活用の歩みを進めるにあたり、まず自身がおおよそどのステージに位置しているのかを把握し、次のステージをイメージしていただきたい。特に、データ、業務、システム、分析人材、経営のどこにボトルネックがあるのか、ぜひ確認してほしい。
総務省「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」に基づき推計すると、驚くべきことに日本企業のおよそ6割強が、いまだ「勘」「経験」「度胸」で業務を遂行している。
ステージ0 [KKD(勘・経験・度胸)で業務を遂行する組織]
大企業29%、中小企業62%
ステージ1 [データの集計と可視化をしている組織]
大企業16%、中小企業22%
ステージ2 [統計的な分析結果を活用している組織]
大企業38%、中小企業15%
ステージ3 [AIを活用した組織]
大企業16%、中小企業2%
コロナ禍を経て、急速に企業のデジタルトランスフォーメーションが進んでいるものの、大企業の半数近くがデータの可視化に留まり、大企業であっても3割近くはKKD(勘・経験・度胸)で業務を遂行している状態にある。
AIを業務に用いている企業はまだ全体の2割にも満たず、データ・AI活用のポテンシャルは大きいと言えるだろう。中小企業についてはほとんどがデータの可視化止まりで、いまだデータ分析にまで至っておらず、しかも6割強の企業がKKDで業務を遂行していることがうかがえる。
AI機能を備えた組織の構築を実現している企業はわずか16%。この16%の企業は、他の企業と比べて3倍近い投資対効果を得ている。データ・AIの活用を進める際に直面する8つの壁と、その突破法とは? アクセンチュアAI部門責任者による、実例ベースの組織変革方法。
保科学世著/日本経済新聞出版/2200円(税込み)

