光電融合を学びたいという読者に向けて、産業技術総合研究所 光電融合研究センター 上級主任研究員の高 磊さんが良書を推薦する3回目です。今回は、筆者がこれまでの研究活動を通して、一番影響を受けた書籍について紹介します。
本分野を切り開いた両先生が学生向けにわかりやすく解説
光電融合の最終回として、私が最も影響を受けた書籍を紹介します。『光ファイバ通信入門 改訂5版』(末松安晴、伊賀健一著/オーム社/2017年8月刊)は、光電融合に欠かせない様々な光通信用デバイスの動作原理(主要な数式を含む)を平易な表現から学べるのが特徴の書籍です。また、この分野の発展の歴史を学ぶのにも適しています。1976年に初版が発売されましたが、半世紀にわたって15万部以上が発行されているこの分野でのベストセラーの一つといってもよいでしょう。
著者である末松安晴先生および伊賀健一先生は、いずれも東京科学大学(旧東京工業大学)の学長(末松先生は1989~1993年、伊賀先生は2007~2012年)を務めた経験のある、この分野において世界的に著名な先生です。現在、光通信分野をけん引するNTTや住友電気工業、古河電気工業、富士通、三菱電機などの企業には、末松・伊賀研究室を源流とする卒業生が多く在籍しており、業界内において非常に影響力のあるネットワークを築いています。私が指導を受けていた早稲田大学の中島啓幾先生も、伊賀先生とは非常に親しい関係にあり、そのご縁から、伊賀先生が代表を務めておられる公益社団法人応用物理学会・微小光学研究会では、年に何度かお話しをさせていただく機会があります。
そのような先生方が初級者から中級者を対象として書かれたのが同書籍です。私は、光集積回路を専門とする中島研究室に所属した際、光通信の全体像を理解するために適しているとして薦められて購入しました。今でも基本原理に戻る際などには度々参照することがあるほど、お世話になっている書籍です。
写真やポンチ絵、式などが必要に応じて登場し、光通信デバイスの原理がわかりやすく書かれています。また、先述したように初版が発売されたのは1976年ですが、改訂を重ねるごとに新しい項目が追加されています。私が2007年ごろの学部生時代に購入したのは4版ですが、2017年に11年ぶりに改訂された5版を改めて購入して比較したところ、近年の光ファイバ通信システムに関して記述が増えたり、半導体レーザーの性能向上や将来展望が紹介されたりなど、多くの箇所でのアップデートがありました。
位置付けとしては、前回までに紹介した初級者向けと中級者向けの中間となるかもしれません。読みやすさといった点では初級者にも薦められますし、また原理をわかりやすく知りたいといった中級者のニーズにも、十分に応えられる一冊です。
これまで3回にわたって光電融合に関連する書籍を紹介してきました。1回目の冒頭にも書きましたが、光電融合は日本がグローバルに影響力を持てる可能性があります。そのためには、もちろん我々研究者も必死になって研究に取り組まなくてはなりませんが、様々な需要も掘り起こしていかなくてはなりません。日本の成長産業の原動力となるよう、今後も光電融合に興味を持っていただけると幸いです。
産業技術総合研究所 光電融合研究センター 上級主任研究員
(取材・構成:木村 知史=CocoSmile 編集者)

