「生成AI(人工知能)を導入したけれど、どんな仕事を任せればよいのか分からない」「費用対効果を算出するにはどうしたらいい?」……そんな悩みに答えるのが2024年12月刊『AIに任せる技術 業務別「共生」戦略』(日本経済新聞出版)です。本書は営業やR&D、人事など8部署50業務を徹底分析し、活用方法から最新事例、想定されるリスク、費用対効果の測定方法まで幅広く解説しています。そんな本書から一部を抜粋します。3回目は、「顧客管理における実際の活用法」について。
まずは生産性を高められる領域を知る
「顧客管理」業務について、テクノロジーやAIの活用を通じて、生産性を高めることができる領域はどの部分でしょうか。図表の通り、各業務を「ロジック化・ルール化の容易性」と「データ化の容易性」という2軸で整理してみます。
2軸で分けた4領域の中で、AIの導入効果が見込める右上と右下の領域について、AIを活用した具体的な業務イメージを提示します。また左上の領域については、どのようなデータを確保することができればAIによって生産性の向上余地があるのかを考察していきます。
ChatGPTを活用してアンケートをどう作成するか
自社の製品の購入者に対して、満足度の調査を行うこと自体は一般的です。そのため、本書の多くの読者も日々使う製品に関する満足度調査に回答した経験があるのではないでしょうか。今回、そのようなアンケート作成や回収したアンケート結果の集計・分析について、AIを活用してどのように生産性が高められるかを考えてみたいと思います。
まずはアンケートの作成についてですが、この領域では昨今、話題となっているChatGPTをはじめとしたLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を活用して、効率化を図ることができます。次にプロンプト例と、回答例を記載します。
あなたは製造業企業に従事する従業員で、自社の顧客満足度を高めることをミッションとしています。自社製品の顧客満足度を正確に把握するため、アンケートの項目を提案してください。
◆回答例:
1.デモグラフィック情報
a.年齢
b.性別
c.職業
d.地域
2.製品に関する項目
a.製品の品質に対する満足度
b.製品の機能性と使いやすさ
c.製品のデザインと外観
d.製品の耐久性と信頼性
e.製品の価格に対する価値
3.サービスに関する項目
a.購入前の情報提供やサポートの質
b.購入プロセスの簡便さ
c.配送・納品の早さと正確さ
d.アフターサービスとカスタマーサポートの質
e.保証や返品・交換ポリシーへの満足度
4.顧客体験に関する項目
a.全体的な購入経験の満足度
b.製品やサービスを再び利用する意向
c.製品やサービスの推薦意向(NPSスコア)
d.製品やサービスに対する改善提案やフィードバック
以上は、ChatGPT(※2024年4月時点のGPT4)を使用したプロンプトと回答の一例となりますが、いかがでしょうか。この回答例を基にアンケート項目を作成することでゼロから検討するよりも、大幅な効率化ができます。より精緻な回答を得るには、プロンプト例で下線を引いた箇所の業種を自社に即したものに変更したり、自社製品の内容や特性などを具体的に追記したりすることで、自社の顧客向けのアンケート項目を出力させることも可能です。さらに「属性分析・購買予測」業務で導出した特定顧客のグループなどをアンケート対象者として明示することで、そのグループに適したアンケートの項目案を引き出せるかもしれません。
ここでご紹介したのはアンケートを作成する工程の業務ですが、それに加えて、生成AIを活用することで、回収したアンケート結果の集計や分析をすることも可能となります。ChatGPTなどの最新のLLMではマルチモーダルAIに対応しており、生成AIに指示を出す際のプロンプトは、テキストでの入力に加えて、音声や画像、文書ファイルなど様々な形式に対応しています。アンケートの集計や分析を行うにあたっては、これまで手動で行っていた作業も生産性の向上が見込まれます。なぜなら、回収した結果をExcelやCSVファイルでエクスポートしてChatGPTなどにアップロードし、集計や分析を指示するプロンプトを入力することで効率化が可能だからです。
アバナード株式会社編/日本経済新聞出版/2420円(税込み)


