※2023年2月28日で、動画の公開を終了しました
稲盛和夫氏の「秘蔵動画」を2023年2月末までの期間限定で公開。半世紀以上にわたる実践のなかで生み出された要諦、「経営12カ条」を肉声で語った講演録(動画)です。これさえ守れば、会社や事業は必ずうまくいく。稲盛経営の集大成ともいうべき12の経営の原理原則を一つずつ語ります。今回は第6条「値決めは経営」。
【公開終了】 稲盛和夫「経営12カ条」第6条 値決めは経営

第6条は、「値決めは経営」です。副題は、「値決めはトップの仕事。お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である」というものです。
私は、かつて京セラの役員を登用するとき、商いの原点がわかっている人でなければならないと考え、その登用試験として「夜鳴きうどん屋の経営」を考えたことがあります。
うどん屋の屋台の設備が買えるくらいの資金を役員候補に渡し、彼らに商売をさせてみて、何カ月後かに資金をどれだけ増やして帰ってくるか、それを競わせようとしたのです。なぜ、そのようなことを考えたのか。私は屋台のうどん屋の商売に、経営の極意がすべて含まれていると考えたからです。
例えば、うどんを出すとすれば、出汁(だし)は何からどのようにしてとるのか、麺は機械打ちにするのか手打ちにするのか、さらに具のかまぼこはどれくらいの厚みのものを何枚載せるのか、ネギはどこで仕入れてくるのかなど、たくさんの選択肢があり、それがそのままコストに跳ね返ってきます。つまり、うどん一杯とはいえ、千差万別、経営する人によってまったく違った原価構成のものになっていくわけです。
また次には、そのうどんの屋台を、どこに置き、いつ営業するのかという出店立地の問題があります。繁華街で酔っぱらい客をねらうのか、学生街で若者をターゲットとするのか、すべてその人の才覚が現れるのです。
そして、そのような諸条件をすべて決定して、その上で「値決め」があるわけです。学生街で商売をしようとする人は、売値を抑えて数をたくさん売ろうとするでしょうし、繁華街では高くてもおいしい、高級感あふれるうどんにして、数は少なくても利益が出るようにしようとする人もいるでしょう。
つまり、うどん屋の商売には、経営のさまざまな要素が凝縮し、その値決めひとつで、経営の才覚があるかどうかを測ることができるのです。そのため、役員登用の登竜門としたいと考えたのですが、さすがに実際には実施していません。しかし私は、経営の死命を制するのは、値決めであるということを、固く信じています。
稲盛和夫氏が語った講話を「動画」や「音声」で視聴できる会員制サービス。経営論、リーダー論、フィロソフィ、人生論、経営問答など、多数の講話を所蔵している。京セラコミュニケーションシステムが運営。