※2023年2月28日で、動画の公開を終了しました
稲盛和夫氏の「秘蔵動画」を2023年2月末までの期間限定で公開。半世紀以上にわたる実践のなかで生み出された要諦、「経営12カ条」を肉声で語った講演録(動画)です。これさえ守れば、会社や事業は必ずうまくいく。稲盛経営の集大成ともいうべき12の経営の原理原則を一つずつ語ります。今回は第7条「経営は強い意志で決まる」。

【公開終了】 稲盛和夫「経営12カ条」第7条 経営は強い意志で決まる

2013年7月18日「第21回盛和塾世界大会」の講演より。当時、稲盛和夫氏は81歳(映像提供=稲盛デジタル図書館)
2013年7月18日「第21回盛和塾世界大会」の講演より。当時、稲盛和夫氏は81歳(映像提供=稲盛デジタル図書館)
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 第7条は、「経営は強い意志で決まる」ということです。副題は「経常には岩をもうがつ強い意志が必要」です。

 私は、経営とは経営者の「意志」が現れたものだと考えています。こうありたいと思ったら、何が何でもその目標を実現しようとする強烈な意志が、経営では必要となってきます。

 ところが、多くの経営者の方を見ていますと、得てして目標が達成できない場合に、すぐに言い訳を用意したり、目標を修正してみたり、中にはすぐに目標を撤回してしまったりする人がいます。そのような経営者の態度は、単に経営目標が達成できないだけでなく、従業員にも大きな影響を与えてしまうのです。

 それを痛烈に感じたのは、京セラの株式を上場してからのことでした。上場をしますと、来期の予想を発表しなければならず、それは株主への約束でもあるはずですが、日本では多くの企業が、経済環境の変動を理由に下方修正をすることに、あまりためらいがあるようには見えないのです。

 一方、同じ経済環境の中にありながら、目標をみごとに達成してみせる経営者もいます。私は、そのように強い意志で、あくまでも計画を遂行していくような経営者でなければ、特に現在のような変化の激しい経済環境を乗り切っていくことは難しいと考えています。

 状況変化に経営を合わせていては、いったん下方修正した目標でさえ、次にやってくる経済変動の波に翻弄されることとなり、さらに下方修正が必要となってしまいます。そのようなことがあれば、投資家や従業員からの信頼をまったく失ってしまうことになります。「こうしたい」と決めたのなら、経営者は強い意志でやり抜かなければならないのです。

 そのとき大切なことは、従業員の共感を得るということです。もともとは経営目標とは経営者の意志から生まれたものですが、同時にその目標が、従業員全員が「やろう」と思うようなものとなっているかどうかが大切になってくるのです。


『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(稲盛和夫著、日経BP 日経新聞出版)
『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(稲盛和夫著、日経BP 日経新聞出版)
<稲盛デジタル図書館>
稲盛和夫氏が語った講話を「動画」や「音声」で視聴できる会員制サービス。経営論、リーダー論、フィロソフィ、人生論、経営問答など、多数の講話を所蔵している。京セラコミュニケーションシステムが運営。