内容紹介

経営者は何を思い、何を行うべきか。経営の第一線を歩き続けるなかで生み出され、稲盛氏自ら「経営の要諦」と位置づけている『経営12カ条』。本書では、その真髄をあますところなく語ります。
「世の複雑に見える現象も、それを動かしている原理原則を解き明かすことができれば、実際には単純明快です。こうした考えの下、『どうすれば会社経営がうまくいくのか』という経営の原理原則を、私自身の経験をもとにわかりやすくまとめたのが、『経営12カ条』です。経営というと、複雑な要素が絡み合う難しいものと考えがちですが、理工系の出身だからでしょうか、私には、物事を本質に立ち返って考えていく習性があるようです。(中略)そして、物事の本質に目を向けていくなら、むしろ経営はシンプルなものであり、その原理原則さえ会得できれば、誰もが舵取りできるものだと思うのです」(まえがきより)。
京セラのみならず、KDDIや日本航空などの大企業から、中小企業に至るまで、あらゆる業種、業態における数々の実践のなかで有効性が証明されてきた実証済みの要諦です。
さらに本書では、経営12カ条について、条ごとにポイントをまとめた「要点」と、関連する稲盛氏の発言を抜粋した「補講」も収録しています。要点は、経営12カ条を実践できているかどうかを確認するための「チェックリスト」として、補講は、さらに理解を深めるためにお役立ていただけます。
経営をするために不可欠な「会計」の原理原則を説いた『稲盛和夫の実学』、門外不出・独創的な管理会計手法を明らかにした『アメーバ経営』、そして『経営12カ条』。本書の刊行で「稲盛経営3部作」がついに完結します。

目次

第1条 事業の目的・意義を明確にする
大義名分が人を動かす/若い従業員たちの反乱/従業員の幸福のために最善を尽くす/全社員が誇りとやりがいを持って働けるようにする/これほど立派な大義名分はない/など

第2条 具体的な目標を立てる
混迷を極めるなかに血路を開き、集団を導く/従業員を鼓舞する壮大なビジョンを説き続ける/倦まず弛まず従業員に説き続ける/中長期計画はいらない/など

第3条 強烈な願望を心に抱く
どのくらい強く持てるかが成功のカギ/繰り返し経験することで潜在意識を活用する/強い願望は一瞬の出会いさえ逃さない/日本航空再建で抱いた強烈な願望/など

第4条 誰にも負けない努力をする
全力疾走でフルマラソンを駆け抜ける/「私なりに努力をしている」では熾烈な企業間競争を勝ち抜けない/誰にも負けない努力を日々、絶え間なく続ける/など

第5条 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える
「足し算式の経営」をしてはならない/全員が経営に参加できる仕組みをつくる/採算が見えれば、創意工夫が生まれる/数字で経営する/高収益企業になるために/など

第6条 値決めは経営
「1杯のうどんをいくらで売るか」に凝縮される経営の極意/お客様が喜んで買ってくださる「最高の値段」を射止める/仕入れやコストダウンと連動させて考える/など

第7条 経営は強い意志で決まる
何が何でも目標を達成する/「経営者の意志」を「全従業員の意志」に変える/必死な姿で経営に取り組み、強い意志を示す/など

第8条 燃える闘魂
絶対に負けるものか/厳しい経済環境にも負けてはならない/命を賭けて従業員と会社を守る/など

第9条 勇気をもって事に当たる
原理原則を貫く/知識を信念にまで高めた「見識」をもつ/「胆識」が備わって初めて真の経営者に/など

第10条 常に創造的な仕事をする
傑出した技術力を最初から持っている会社などない/あらゆる事業に共通する真理/未来進行形で考える/など

第11条 思いやりの心で誠実に
自己犠牲を払ってでも相手に尽くす/買収や合併でも相手を最大限に思いやる必要がある/失敗と成功を分けた心の差異/など

第12条 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で
どんな逆境にあろうとも自分の人生をポジティブに見る/善き心で善き行いを続ければ、すばらしい成果が訪れる/2つの他力を得て、さらなる成長発展を/など