仕事が忙しくて新しいことに挑戦できない、子育てに追われて自分の時間がない…「時間」に悩む人への特効薬がある。経営者、コンサルタント、著述家、講演家と一人何役も軽々とこなし、難関の国家資格も取得。そんな時間管理の達人が教える「時間リッチ」になるヒント。今回は「相手に振り回されないための時間術」。日経ビジネス人文庫『やりたいことを全部やる!時間術』(臼井由妃著)から抜粋・再構成してお届けする。
時間の手綱を離すな
どんなに時間がなくても、人との出会いやつき合いを疎(おろそ)かにしない。
それが結果的には時間密度を高めることになる。
これが、私が提唱する「臼井流タイムマネジメント」の鉄則です。
とはいえ、人とのつき合い方も考えなくてはいけません。
うまくやればチャンスと時間を手に入れることができますが、下手をすれば時間を奪われてしまうからです。
人とのつき合い方が、時間活用の一番大きなカギを握っているといっても過言ではありません。
なので、「時間を有効に活用するための、人とのつき合い方」についてお話しさせていただこうと思います。
まず、次の基本原則を覚えてください。
時間の手綱を、決して相手に渡さないこと。
時間の手綱とは、時間の主導権のことです。
手綱を自分が握っているのか、相手が握っているのか、それによって両者がコントロールできる時間に大きな差が生まれることになります。
「あなたの都合でいいよ」は絶対にNG
例えば電話で商談をしているとしましょう。
「分かりました。では、いつお会いしましょうか」
相手がこう聞いてきたときに、
「いつでもいいですよ。あなたの都合で決めてください」
と返事をすれば、時間の手綱を相手に渡すことになります。
「それでは、明日の19時に銀座のオフィスで」
こう返事ができれば、自分が時間の手綱を握ることになります。
時間をできるだけ有効活用するには、できる限り時間の手綱を握る、自分でコントロールできる時間を増やすことです。
そうすることで、自分のスケジュールは思うようになります。
よく見かけるのは、相手から面談を申し込んできた場合でも、時間の手綱を相手に渡してしまう人です。
「あなたの都合でいいよ」
これが相手への気配りだと思っていたら、それは大間違いです。
単に「時間に甘い人」と相手になめられ、どんどん相手の都合を押しつけられてしまうでしょう。
相手から申し込んできた商談であっても、取引の主導権を握られてしまいます。
忙しさの理由は自分にある
私の友人で「忙しい、忙しい」と口グセのように言っている男性がいます。
仕事も多忙な上に趣味のサッカー、ゴルフ、さらには地域でのボランティア活動と、確かに忙しい人なのですが、忙しさの理由は他にもあるのです。
実は彼、気が弱く、自分の都合で時間を決められないのです。
「いつでもいいです」。これが彼の口グセです。
結果、相手からは「けっこう暇なんだ」と見られてしまっているのです。
こうなると時間の手綱は相手に渡ってしまい、いつも相手の都合に振り回されることになります。そして、必要以上に忙しくなってしまうのです。
私は、相手から商談を申し込まれると、手帳を開きスケジュールを確認しながら、
「○月○日の○時に○○はいかがですか」
と、即座に自分の都合を伝えます。
オフィスにいる時間なら、オフィスに来てもらう。
外出先なら、連絡の取りやすい場所を指定する。
そうすれば、そのアポイントの時間の手綱を離さないだけでなく、相手に対して、日頃から時間に厳しい人、スケジュール管理が行き届いている人と、自分のことを印象づけることができます。
つまり、今後もその人とのつき合いを続ける上で、常に自分が時間の手綱を握りやすくなるのです。
もっとも、そのためには普段から自分のスケジュールをしっかりと把握しておく必要があります。
相手からの電話は待たない
また、何気ない電話での会話の中にも、時間の手綱のやりとりがあります。
ビジネスでも互いにスマホでやりとりをすることが増えましたが、それでも業種によっては固定電話が通常の場合もあります。
「山本さんをお願いします」
「申し訳ありませんが、ただ今外出しております」
電話をかけた相手が不在の場合、あなたならどうしますか。
「それでは、お戻りになりましたら電話をくださるようにお伝えください」
と言ってしまいがちですね。
でも、相手から電話をかけてもらうようにすると、相手からの電話を待つことになります。つまりこちらには主導権がなくなります。
仮に、
「あと10分ほどで戻って参りますので、戻りましたらお電話させましょうか」
と言われても、帰社時間はあくまで予定です。遅れる場合も考えられます。
あるいは連絡ミスで、相手に伝わらないこともあります。
それに、いつかかってくるのかも定かではない電話を待つのは「10分後に戻るといったのに、かかってこないな」とイライラすることになり、精神衛生上も損です。
ですから、相手の戻ってくる時間がある程度分かっていても、私はこう返事します。
「それではこちらからまた、かけ直させていただきます」
たったこれだけの切り返しで、自分が時間の手綱を握ることができるのです。
何度かけても相手が捕まらなかったときには、嫌気がさして「電話をください」と言ってしまいそうになりますが、そこはあくまで自分がイニシアチブをとるようにしてください。
繰り返しますが、時間の手綱は、握ったほうに分があるのです。
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臼井由妃著/日本経済新聞出版/880円(税込み)

