仕事が忙しくて新しいことに挑戦できない、子育てに追われて自分の時間がない…「時間」に悩む人への特効薬がある。経営者、コンサルタント、著述家、講演家と一人何役も軽々とこなし、難関の国家資格も取得。そんな時間管理の達人が教える「時間リッチ」になるヒント。今回は「時間をお金で買ってトクする方法」。日経ビジネス人文庫『やりたいことを全部やる!時間術』(臼井由妃著)から抜粋・再構成してお届けする。
お金で時間を買う
「時は金なり」という言葉があります。
でも私は、お金はあとで取り返すことができても時間は取り返すことができないから、時はお金以上のものと考えています。
「時は命なり」なのです。
そして、皆さんもご承知の通り、命はお金では買えません。
では、時間はお金で買えるでしょうか?
1つの考え方としてですが、私は買えると思います。
もちろん、お店で切り売りされているわけではありません。
だから通常、「時間はお金では買えない」とされているのですが、お金を払うことで時間が節約できたり、時間を有効に使ったりすることは、さまざまなシーンで可能です。
これは、結果として時間をお金で買うのと同じ効果があります。
具体的にケースを挙げてご説明しましょう。
タクシーが「自習室」代わり
例えば私は、仕事がたまって忙しいときには、電車を使わずタクシーで移動します。
タクシーの中なら、パソコンを開いたり書類を広げたりできるので、時間を有効に使うことができるからです。
周囲の雑音が気にならないので、暗記や計算など、集中して仕事を片づけるときにもタクシーは重宝します。資格試験受験の際などは、タクシーが「自習室」代わりでした。
運転手さんによっては、こちらの都合を考えずに話しかけてくる人もいますが、そんなときには行き先と道順を伝えてから一言、
「仕事を片づけたいので協力してくださいね」
と笑顔でつけ加えておけばいいのです。
グリーン車は「走る書斎」
また私は、仕事で新幹線を使うことが多いのですが、その際はグリーン車を利用することに決めています。
区間にかかわらず、たとえ東京から新横浜まで出かける場合でも、グリーン車に乗っています。乗車時間17分、グリーン料金込みで3370円(ひかり号)かかりますからぜいたくな話です(時間・料金は2025年4月現在)。
でも、座席の広さにゆとりがあって、疲れている際には思い切り足を伸ばし眠ることもできます。
それにグリーン車は、普通車と違って周囲の音が気になることも少ないので、原稿の執筆や企画のチェックなどもスムーズにできます。
普段思いつかないようなアイデアが浮かぶことも多いもの。
その意味でグリーン車は、私にとっては、移動時間を有意義に使える「走る書斎」なのです。
セミナーは無料よりも有料を選ぶ
移動手段以外にも、お金で時間を買えるケースはたくさんあります。
例えばセミナー。
私は必ず有料のセミナーに参加するようにしています。
参加者のレベルや会場の雰囲気が、間違いなく無料のセミナーよりもいいからです。
下手に無料セミナーに参加して「面白くなかった」「ためにならなかった」ということになると、お金を渋って時間を無駄にしたことになります。
だから私は、たとえ同じ講師の同じテーマのセミナーであっても、有料か無料かを選ぶのであれば有料のほうを選びます。
これが、時間を買うということなのです。
誰でも目先のお金にはついついとらわれてしまいますが、お金を払うことで効率よく仕事ができたり、中身の濃い時間が過ごせたりするなら、どんと払うべきです。
お金をかけた元は取れるはずですし、それ以上のリターンが望めるはずです。
いつでも「お金で時間を買えないか?」という発想を忘れないようにしましょう。
自分の時間価値に見合った時間の使い方
「お金で時間を買う」という場面で、誰もが考えることは「いくらまでお金を使ってもよいのか?」ということでしょう。
「お金で時間を買えないか?」という発想を持とうと述べましたが、かといって誰もが毎回ファーストクラスやハイヤーを利用するということは、現実的ではありません。
そこで「お金で時間を買う際の目安は?」ということになります。
その1つの基準として「自分の時間価値はいくらか?」という考え方があります。
それに見合うのであれば、お金を払って時間を買ってもいいということになるのではないでしょうか。
「時間価値」という言葉は、私が国家資格の勉強をしているときに、資格三冠王(弁護士・公認会計士・通訳)と呼ばれている黒川康正さんの本を読んで知った言葉です。
私の解釈としては、時間価値とは、その人の「1時間当たりの価値」と考えています。
その算出方法は「もらう報酬÷かかる時間」と、いたって簡単です。
時間価値を算出する
例えば、あなたの月給はいくらですか。
仮に30万円だとしたら、時給に換算するといくらになるか計算してみてください。
1日8時間働き、1カ月に20日間出勤と仮定すると、「30万円÷160時間」で時給は1875円になります。
1875円、これがあなたの基本の時間価値です。
ボーナスや諸手当も含めれば、実際の時間価値はもっと高くなるでしょう。
この結果を、あなたはどうとらえますか。
けっこういい時給をもらっていると考えられないでしょうか。
これが役付きになると、時給は1万円にもなるでしょう。
このように月給を時給に換算してみると、あなた自身の「1時間当たりの価値=時間価値」がはっきり見えてくるのです。
そして自分の時間価値が分かれば、どこまで時間をお金で買えばいいのかということも、自然と分かってくるはずです。
あなたの時間価値は?
また、時間価値を知ることは、時間をどう使えばいいか、どう過ごせば時間に見合った働きができるかを、シビアに考えるきっかけになります。
例えば、あなたの時間価値が3000円だとしましょう。
とすると、二日酔いで、やる気のない状態で出社し、1時間をデスクで無意味に過ごしても3000円。
体調を万全に整えて、得意先に提出する企画書を1時間かけて作成しても、3000円のお金がかかることになります。
こう考えると、時間を大切に考えざるを得なくなりますよね。
また、時間価値が1時間3000円の人が、1時間企画書づくりに費やすとしたら、最低でも3000円を取り戻す中身の濃い仕事をしなければならないですね。
こういう感覚は、自分で時間を有効活用する上で、とても重要です。
お金がかかっているから無駄にできない
私が数々の国家資格を短期間で取得できたのも、自分の時間価値を意識していたからだと考えています。
社長業と並行して資格を取ろうと思ったとき、「どうせ長続きしないでしょ」と周囲からバカにされるのがイヤで、当初は内緒でやっていました。
でも、いずれはばれるかもしれない。
ばれたら「そんなことに時間を使って…。自分がいくら月給をもらっている身か分かっているの?」といわれることは目に見えています。
そのときに、
「大丈夫。自分の時間価値は分かっているし、それに見合うことをしています」
と言い返せないようなら、そんな受験勉強はやめたほうがいい。
そんな気持ちで勉強に取り組み、短期間で資格を取得することができました。
時間価値を知ると、自分のすることの一つひとつについて、本当にやるべきことか否かを深く理解することができます。
そして、何をするにしても「お金がかかっているんだから時間は無駄にできない」という意識に変わってくるのです。
時給分のお金を貼っておく
私は、時間価値の自覚がない人には、絶えず目につくところに自分の時給分のお金を入れておきなさいとアドバイスをしています。
時間価値が1万円の人なら、仕事用のファイルや手帳に1万円を貼っておき、絶えず自分に意識させるのです。
「私は時給1万円!」と理解できれば、おのずと時間の使い方が変わってきます。
すべてをお金に換算しろとは言いませんが、時間価値というモノサシで自分の働きを考えることは、時間の費用対効果を理解することになります。
自分の時間価値を知れば、時間の無駄遣いをしなくなるのです。
これが理解できない人は、一生時間貧乏で終わり、どんなに頑張っても時間リッチにはなれません。
10万部突破のベストセラー。経営者、コンサルタント、著述家、講演家と一人何役も軽々とこなし複数の国家資格も取得。そんな時間管理の達人が教える「時間リッチ」のヒント集。会議は「1発言1分」が基本、イヤなことは朝イチに……時間と心とお金に余裕ができる!
臼井由妃著/日本経済新聞出版/880円(税込み)

