内容紹介
コロナ禍、人口減、鉄道を襲ういくつもの苦難。それでも、現場のハートは燃えている!
日本全国を「鉄」記者が自ら駆け回って集めた
現場の生の声を伝えます。
【はじめに】より抜粋
鉄道好きの1人としては、ローカル線はひなびていればいるほど旅情があると思う。自分が乗る時はガラガラで、のんびり酒でも飲みながら旅行できれば最高だ。
しかし、それは勝手な願望にすぎない。鉄道事業がビジネスである限り、立ちゆくはずがないからだ。「客がほとんど乗っていない列車に乗務するたびに、むなしくなるんです
よ。自分の仕事は世の中の役に立っているのか、会社の先行きはどうなるのかって」。ローカル線の乗務経験があるという、あるJR社員に言われたこの一言が今も耳から離れない。
コロナ禍という未曽有の変化に直面し、もがき、苦しむ鉄道の現場を2年半取材し続けたルポルタージュだ。鉄道が担う公共交通という役割を残し、守ろうと奮闘する現場の人々の思いを感じ取っていただければ幸いだ。
●第1章
鉄道は公のもの? 企業のもの?
・つながらない新幹線
・先送りを続けた、その果ての姿
・このままだと大都市圏以外は鉄道が消えかねない
・鉄道の魅力は公共交通の魅力
・「交通税」の検討、公共交通は税金で賄うべき?
●第2章
ファーストペンギン、JR西日本が挑む自己変革
・20万枚以上売れたサイコロきっぷ
・「10年先の未来が一度にやってきた」
・新たな大阪駅(うめきたエリア)はイノベーションの実験場
・「瑞風」の再出発、走るホテルから食堂車が消えた
・「40年ぶりに電車に乗った」
●第3章
大手民鉄も変わる、大家さんからパートナーへ
・大手民鉄も人口減からは逃げられない
・都心部の強さがあだになった東京メトロ
・迫るダイナミックプライシング時代
・小田急の「シン・沿線開発」
・身構えていた担当者に「よく来てくれた」
●第4章
ローカル線は誰がために走る
・“異例の”車両更新を果たした「伊予灘ものがたり」
・自発的な沿線住民の“おもてなし”がリピーターを育てる
・各社で進む自動運転技術開発
・存続の究極の一手になるか、BRT+自動運転
・クラウドファンディングで車両を調達したしなの鉄道
●第5章
業種の壁を越え、公共交通をアップデート
・MaaS軸に「競争」から「共創」へ
・「カルテル」該当の縛りを解いて共同経営に取り組む
・三菱商事×西鉄、異色のタッグが生んだ次世代交通システム
・博報堂の“広告マン”が東京から過疎の町に通い詰めたワケ
・JR東海が 「離島」に注目、船が生み出す鉄道の収益