内容紹介
◆わが国では近代企業が誕生した明治時代には早くも社史が刊行され、これまでにおそらく7000社以上が社史を出す、世界でも珍しい社史大国。一方で多くの人は社史に触れる機会はほとんどなく、長いあいだ関心を持たれることもなかった。かつては著者自身もそうであったが、経団連のライブラリアンとして社史の研究に取り組み始め、実際に社史を読んでみると、経済小説顔負けの面白さがあったという。社史には創業時からの実際にあった出来事や状況について、具体的かつ子細に記録されていたからだ。◆本書で取り上げる会社の多くは、時代の大きなうねりの中で幾多の試練を乗り越え、創業から100年を超えてなお繁栄を続けているものばかり。どの会社も経営トップに共通するのは、「着眼点や観察眼」「時代を見る目の確かさ」「先見性と明確な目的意識」「自助自立の精神」「絶えざる創意工夫、チャレンジ精神」である。そして、事業を始めた動機はたんに「儲かるから」ではなく、国や人々を物心両面で豊かにしたいという社会に対する使命感と志の高さであった。また、時代や経営者がかわっても創業者の哲学・経営理念を長く引き継いでいること、苦境に立たされても常に前を向き、信念と工夫で危機を切り抜けている点も共通している。これらが記された社史は、先人起業家たちの足跡を記録した、まさに生きた「経営の教科書」である。
◆本書では社史研究家として1万冊の社史に目を通してきた著者が、長寿企業61社の歴史を振り返り、その強さの源泉、DNA(夢、希望)を浮き彫りにする。
目次
第1章 気骨ある創業者・経営者――飽くなき追求1 大日本除虫菊 2 松竹 3 レンゴー 4 カゴメ 5 関西ペイント
6 江崎グリコ 7 コマツ 8 セメダイン 9 エーザイ 10 ダイキン工業
第2章 国産化に挑む─果敢なチャレンジ精神
11 三菱鉛筆 12 ヤマハ 13 アサヒビール 14 日立製作所
15 ダイニック
第3章 郷土・地域の発展と活性化
16 倉敷紡績 17 宮崎交通 18 富士屋ホテルと箱根登山鉄道 19 資生堂 20 三菱地所
第4章 新機軸を出す――着眼点・発想の転換
21 花王 22 三越 23 イムラ封筒 24 ブリヂストン 25 ヤマト運輸
26 マツダ 27 サンスター 28 大和ハウス工業
第5章 新戦略誕生――分社化・機械化・ユニット化・多角化
29 三井物産 30 グンゼ 31 日建設計 32 マキタ 33 YKK
34 京セラ 35 ダスキン
第6章 独自技術を高める
36 島津製作所 37 大日本印刷 38 乃村工藝社 39 サカタのタネ
40 日本精工 41 巴コーポレーション 42 シマノ 43 テルモ
44 昭和丸筒 45 日本信号 46 マブチモーター 47 カシオ計算機
48 島精機製作所
第7章 新たな価値の創造─ 生活を豊かに快適に
49 帝国ホテル 50 森永製菓 51 中村屋 52 日本水産 53 TOTO
54 象印マホービン 55 ニチバン 56 ワコール 57 積水ハウス
58 ユニ・チャーム 59 綜合警備保障 60 パナソニック