内容紹介

●狙われる情報支配のアキレス腱
19世紀半ば以降の電信と大英帝国、20世紀半ば以降のインターネットと米国――。それぞれの時代の国際政治の覇権国は、電気通信ネットワークの発達に深く関与してきた。その重要インフラストラクチャとして200年近くにわたって君臨しているのが、海底ケーブル。その切断はたびたびニュースとなっている。本書は、地政学の観点から海底ケーブルの現代における意義を解明。さまざまな情報の断片を掛け合わせることで知られざる実態に迫る。

目次

Ⅰ 電信の大英帝国からインターネットの米国へ
 1.グローバリゼーションと通信
 2.海底ケーブルの国際法的保護と敷設法
 3.海底ケーブルと覇権国
 4.電信と海底ケーブルの発明
 5.大英帝国による電信ネットワーク利用
 6.人工衛星による断絶
 7.海底同軸ケーブルと光海底ケーブル
 8.通信主権とITバブル
 9.海底ケーブルのガバナンス
 10.距離の暴虐から距離の死へ
Ⅱ 大日本帝国と海底ケーブル
 1.日本の植民地と海底ケーブル
 2.長崎――日本初の国際海底ケーブル陸揚げの地
 3.石垣島――日露開戦の布石
 4.台湾――最初に敷設したのは清朝
 5.釜山――例を見ない厳重警備
 6.根室――北方領土とのつながり
 7.稚内――道なき道の先に
 8.利尻――遅れた敷設
 9.戦争と海底ケーブル
Ⅲ 太平洋横断海底ケーブルのドラマ
 1.ハワイの戦略的重要性
 2.ハワイへの海底ケーブル接続競争
 3.米国によるハワイ海底ケーブル
 4.太平洋ケーブルの開通
Ⅳ 接続の力学 太平洋島嶼国におけるデジタル・デバイド
 1.欠落したリンク
 2.通信開発における援助と自助
 3.接続の力学の世界
 4.第二次世界大戦中のパラオの海底ケーブル
 5.海底ケーブルという欠落したリンク
 6.中国への牽制という要素
Ⅴ 攻防 海底ケーブルの地政学
 1.第二次世界大戦後の人工衛星と海底ケーブル
 2.標的としての海底ケーブル
 3.中国と海底ケーブル戦略
 4.チーム・テレコムの登場
 5.グレーゾーン事態における海底ケーブル切断
Ⅵ サイバーグレートゲーム 海底ケーブルの地経学
 1.100年前のグローバル・ネットワーク
 2.海底ケーブル製造の担い手
 3.コンソーシアムからプライベート・ケーブルへ
 4.サプライチェーン・リスク
 5.中国ケーブルの参入
 6.クリーン・ネットワークをめぐる米中の論争
 7.米中デカップリングの象徴
終章 高まり続ける重要度