不確実性の高まる世界情勢、高市新政権への期待、労働人口の減少、AI(人工知能)のさらなる進化……どの業界に飛躍のチャンスがあり、企業はどう備えるべきなのか。幅広いシーンで活用されている『日経業界地図 2026年版』から、要注目分野の「業界地図」を紹介する。今回は開発競争が過熱する「量子コンピューター」業界を見ていこう。
量子計算は複雑な動きをする量子の性質を利用する、従来のコンピューターでは解決が難しい複雑な計算をこなす技術だ。素材開発やAI、金融など多方面への応用が期待される。
すでに多くの実機が稼働しているものの能力は限定的だ。長時間、大規模な計算を正確にこなすにはハード、ソフト両面で解決すべき課題は多い。2024~25年には大きな壁であるエラー訂正技術の発表も相次いだ。30年頃の実用化に向け着実に改良が進む。
最近の動向
量子コンピューターは複数の方式が提唱されている。実機の運用ではIBMや富士通などの「超電導」方式が先行。IBMは2029年までに大規模コンピューターの稼働を目指す。
一方、超電導方式は大型化の限界も指摘され「イオントラップ」「中性原子」「光」「半導体」などの方式も有望視されている。海外新興企業が主導し多くの投資マネーを集める。日本ではNTTの光技術などが注目される。理化学研究所など学術界の存在感も大きい。
従来型コンピューターで量子の計算原理を模す「疑似量子コンピューター」は産業応用が進む。日本勢では東芝やNECが手掛ける。
業界規模
量子コンピューターの市場規模:22億ドル(3170億円)(2025年予測、オムディア)
キーワード
【エラー訂正】
量子は制御が難しく計算中のエラーが起こりやすい。量子の情報単位(量子ビット)を複数使いエラーを直す技術が欠かせない。グーグルが2024年、高度なエラー訂正技術を開発したと発表し注目を集めた。
[日経クロステック 2026年1月8日付の記事を転載]
日本経済新聞社編/日本経済新聞出版/1980円(税込み)
日本経済新聞出版編/日本経済新聞出版/1760円(税込み)


