2024年1月、新NISA(少額投資非課税制度)がスタート。株や投資信託(投信)などの金融商品で得た利益にかかる税金がタダになるNISAが大改正され、非課税投資枠が大幅に拡大し、投資期間が無期限になりました。使いやすくなったこの新NISAで、どのように投資をすればいいのでしょうか。売買のタイミングや長期投資の秘訣をQ&A方式で解説します。書籍『 大改正でどう変わる? 新NISA 徹底活用術 』(竹川美奈子著/日本経済新聞出版)から抜粋、再構成。
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Q NISAはいつ始めたらいいですか?
A 積み立てが前提なら、始めるのは今です。
投資というと、「相場をみて売り買いするもの」「安いときに買って、高くなったら売る」といったイメージがあるせいか、価格が下がるまで待つと考える方も多いようです。けれど、つみたて投資枠や成長投資枠を活用して投信を一定金額ずつ積み立てていく方法であれば、タイミングを計る必要はありません。
毎月(毎週や毎日でも)一定金額ずつ購入していくことを「ドルコスト平均法」といいます。この方法だと、価格が下がったときにはたくさんの口数(投信の単位)を購入し、価格が上がったときには少しの口数しか購入しないしくみになっています(図表)。
仮に価格が高いところから始めて、その後下がったとしても、たくさんの口数を買えてよかった、くらいに考えたいものです。積立投資を続けていった結果、最終的に受け取る金額は、価格と保有する口数の掛け算で決まるからです。
- 最高の投資タイミングは誰にも分からない
- 株式の期待リターンはプラスである
- 積立投資は下がったときにたくさん買える
というふうに考えましょう。
積立投資において大事なのは、タイミングではなく、「タイム」です。資産形成の土台づくりとしての投資では、時間を味方につけて、長期でコツコツ元本と運用益を積み上げていくことが大切です。そして、NISAのつみたて投資枠ではそうしたことができる仕組みになっています。成長投資枠で積み立て投資をする場合も同様です。
値上がりしたとき利益確定をすべきか
Q 保有している商品が2割値上がりしました。売って、利益確定するのはありでしょうか?
A 今すぐ資金が必要ないのなら、売らずに長期で運用しましょう。
投信の価格は上がったり下がったりするので、値上がりしているときには利益確定しようかと思ってしまいます。値下がりしているときにも、売ってしまいたいと考えてしまうものです。
しかし、投信の解約を考えるタイミングは次の2つのときだけです。
(1)使う時期が来たとき
投信を購入したら、あとは使う時期が来るまでは運用を続けるのが基本です。運用していれば大きく値上がりする場面もあるでしょう。しかし、短期的に価格が上がったり下がったりしても気にする必要はありません。
むしろ、価格が上昇したからといってちょこちょこ売っていると、お金を大きく育てることができません。一番良くないのは、相場が大きく下げたときに動揺して売ってしまうことです。使う時期が来るまで淡々と運用を継続しましょう。
(2)リバランスをするとき
投資を始める際に、預貯金などの安全資産とリスク資産の割合は決めておきたいところです。当初よりもリスク資産がふえた場合、もともと設定した比率に戻すために、例えば投信を解約するという手もあります。
ただ、「NISA口座で保有している投信は非課税で運用できる」ということを考えると、NISA口座で保有する投信はできるだけ解約したくないものです。リスク資産の割合がとてもふえてしまった場合、ボーナス時に預金に振り向ける金額をふやす、といったことを検討しましょう。
長期投資を続けるための方法
Q NISA口座で投信の積み立てをしていますが、すぐに解約したくなります。どのようにすれば長く保有し続けられるでしょうか?
A 自分の投資方針書を作成してみましょう。
NISAは長期の資産形成・活用を促す制度にもかかわらず、1~2年程度で解約してしまう人も多いようです。NISAは、保有している投信をいつでも一部または全部解約できる、つまりどんな用途にでも使えることが利点です。
ただ、なんの目的もなく、少し値上がりしたからといって解約(利益確定)したり、値下がりしたため怖くなって解約してしまったりを繰り返していては、長期的な資産形成はできません。できるだけ長く保有し、頻繁に解約しないことが大切です。ところが、現実にはこれがなかなか難しいようです。感情が先に立つと、保有する投信の価格が下がると怖くなってしまいます。
では、どうしたらよいのでしょうか。
きちんとルールを決めて、それを淡々と実行するのが一番です。例えば、自分なりの「投資方針書」を作成しておき、不安になったときにはそれを読み返すと効果があります。これは米国の著名な投資コンサルタントで『 敗者のゲーム[原著第8版] 』(鹿毛雄二、鹿毛房子訳/日本経済新聞出版)などの著書があるチャールズ・エリス氏や、投資教育家の岡本和久氏なども勧めている方法です。
投資方針書というとなんだか難しそうですが、要は「自分がどういう目的・方針で運用するか」をまとめておくものです。例えば、次のような内容を決めておくとよいでしょう。
- 目 的:リタイアまでに老後のお金をつくる
- 運用方針:60歳までは積極運用、その後は株式の比率を下げる
- 運用方法:投信の積み立て(iDeCo[個人型確定拠出年金]やNISAを優先的に利用する)
- 配 分:リスク資産と無リスク資産(預金)が半々になるようにする
- 商 品:積み立てるのはA世界株インデックスファンドとB投信。それとは別に、課税口座で個人向け国債を保有する
- チェック方法:年に一度、年末に配分と時価評価額をチェックする
- その他:万一に備えるお金として、生活費の半年分は預金に置いておく
これはあくまでも一例なので、自分のまとめやすい方法で書いておきましょう。投資を始めてから、必要な項目を付け加えたり、見直したりしてもかまいません。結婚などを機に、再度、投資方針書を練り直したという投資家の方もいます。メモ程度でもよいので、ぜひトライしてみてください。
株や投資信託で得た利益にかかる税金がゼロになる少額投資非課税制度(NISA)が大改正! 「制度のポイントと注意点は?」「どんな商品を選べばいい?」「これまでのNISAはどうなる?」など、第一人者があらゆる疑問に答えます。
竹川美奈子著/日本経済新聞出版/1650円(税込み)


