【残業】はプライベートタイムまでの暇つぶしで、【働き方改革】は会社が体よく人件費を削減するための手段!? ふつうのビジネス書が絶対に教えない日本企業の現実を皮肉たっぷりに解説します。今回は働く人の労働時間にまつわる用語を5つ。多くの企業・職場を観察してきた岡本努氏が『 禁断の会社用語辞典 組織・人事コンサルタントが教える企業の現実 』(日経BP)から抜粋・再構成して解説します。
【労働時間】
本来の意味- 労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間
- 実際に働いているか、いつでも働けるように拘束されている時間
- (部下)休日に、上司の要請で、いつでも仕事の電話に出て対応ができるように備えていても、対応がなければ「休日扱い」にしがち
- (部下)会社を出たあとの仕事のメールや電話は、翌日の仕事を楽にするちょっとしたことなので、労働時間に含めなくてもよいと思いがち
- (部下)昼休み中でも、メールや電話に即応するのは当たり前だと思いがち
- (部下)出張の移動時間を労働時間としてカウントできると勘違いしがち
- (部下)PCにログインしたら、そのあとはすべて労働時間と過度に捉えがち
- (上司)部下が自主的に早出するのは、本人希望だから労働時間ではないと思いがち
- (上司)昼休み中でも、仕事の指示をしがち
- (上司)運動会や懇親会などの休日の社内行事は労働時間ではないと決めつけがち
- (上司)管理職は、割増賃金は一切支払われないと思いがち
【残業】
本来の意味- 会社が定めた所定労働時間を超えて働くこと
- 定時後の仕事全般を指す
- 「今日は早く帰ろう」とがんばった日に限って、突然指示される。定時直前に「ちょっといい?」と言われたらおしまい
- 会議の設定時刻がそもそも定時後。リモートによる始業時刻前の早朝会議も頻発
- いまだに残業の多い社員が「がんばってるね」と言われる
- 評価会議で「〇〇さんは残業も多くてがんばってるので、評価は低くできない」と話題になる
- いまだに残業が少ない人が言われることがあるのは、「最近、暇なの?」
- プライベートの約束までの暇つぶし。居心地の悪い家庭から逃れる方法

(イラスト=川崎タカオ)
【休日・休暇】
本来の意味- 休日―会社が労働義務を課さない日であり、会社全体が休業する日
- 休暇―営業日において、会社の定めや本人の申請によって労働義務を免除する日
- 休日労働が当たり前になっている会社・部門に所属していると、休みの日に働くことをなんとも思わなくなる。代休申請もしないのが通例の場合、社員もその異常性に気づかない場合がある
- 仕事が平日で終わらない部下が週末に働いても、上司は「仕方がないよね、本人のせいだから」と考える。リモート(在宅)で働ける場合、労働時間にさえカウントしない
- 有休消化のため「休暇を申請して働くこと」が素晴らしいと喧伝する上司もいる
《解説》
休日労働が当たり前になっている会社・職場がある。採用シーズンの人事、事故やトラブル時の広報や総務、システムトラブル時の情報システム部、飲食や小売、グローバル対応業務、各種カスタマーサポート……。
もちろん、時には必要なケースもあるし、法的に認められている事例もある。しかし社員の善意や心意気、ある種の強制による労働に依存し、残業代不支給や代休未消化を放置しているケースも少なくない。「社員の犠牲」を美談にしてはならない。昔とは違う。そうした企業の情報は外部にさらされ、優秀な人材が集まらず、未来もない。【有給休暇】
本来の意味- 給与を減らさずに会社を休める仕組み
- 毎年、就業規則に従って付与される
- 労働法により会社には年5日取得させる義務がある
- (社員)取ると不安になる、嫌な顔をされる、取らなくても怒られる
- (部門)取られると周りの人はブルーになる、取ってくれないと会社に怒られる
- (人事部)法律通りに取らせるのに必死

(イラスト=川崎タカオ)
【働き方改革】
本来の意味- 働く場所も含めた仕事の進め方を見直し、アウトプットの量・質を下げずに生産性を向上させ、社員の健康維持や働き方の多様化の実現を目指す取り組み
- 「時間外労働を減らせと言うなら、仕事も減らせよ」と社員は辟易(へきえき)している
- 会社が残業手当というコストを削減する方便
- どう働くか、働いてもらうかの改革だが、どう休むか、休ませるかに頭を悩ませる
- 社員も会社も「面倒だ」と思っている
- 効率的に働く人より、結局「たくさん働いてがんばっている風の人」が評価される
- この取り組みを盾にして、所定労働時間以外の仕事を嫌がる社員もいる
- 改革の結果、残業が削減されると、またさらに別の仕事をさせたく(したく)なる
基本知識から最新ワードまで、「日本企業」で働く人が知っておきたい約200語を本来の意味と現実の両面から、豊富なイラストとともに解説。学べて、笑えて、そして怖くなる。ふつうのビジネス書が絶対に教えてくれない会社の「本当の仕組み」がわかる本です。
岡本努 著/日経BP/1980円(税込み)
岡本努 著/日経BP/1980円(税込み)
