お金を貯めたい、増やしたいと思っていても実際は怖い・難しい・面倒くさいことばかりで何から始めたらいいのかわからなかったりしませんか? そんな疑問にお金の教室「富女子(ふじょし)会」を主宰する永田雄三さんと先輩女子たちがこたえた著書『 1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト 』から一部を抜粋し、貯金をするうえで「本当に役に立ったコツ」を1テーマごとに簡潔な解説で紹介します。8回目は「正しい保険選び」について。
生命保険に窓口で加入するのは危険!? その理由とは
前に説明した 固定費の一つでもある保険。特に何か目的があって、金額なども自分で考えて選んだ保険ならば、私は止めません。しかし、「みんなが入っているから」「勧められたから」という理由で入るとしたら、ストップ。もっとよく考えるべきというのが私の意見です。その理由を説明しましょう。
大前提として、生命保険の窓口での加入は危険です。保険会社に加えて、銀行やFP(ファイナンシャル・プランナー)にも相談してはいけません。なぜなら、「損得抜きで保険を勧めてくる人がいないから」です。
私自身、保険会社に勤務していたのでよくわかりますが、保険の勧誘には多くの場合、何らかのバックマージンが発生します。明確な目的がないまま「保険に入ろう」とすれば、その影響を受けることになりかねません。その意味では、保険会社などに相談していいのは、自動車保険や住宅火災保険などの損害保険だけです。
では、どんな生命保険に加入すればいいか。自分で決めるのはとても大変ですよね。そこでここでは、それぞれの状況に応じてケースを挙げながら「必要な保険」について考えてみたいと思います。
会社員で住宅ローンがありなら、「団信」で十分
会社員の場合、死亡したときは、国から遺族厚生年金、会社から死亡退職金・弔慰金が支給されます。もし住宅ローンを組んでいれば、付随する団体信用生命保険(以下、「団信」。病気やケガによる就労不能、死亡などの理由で住宅ローンの返済を滞らせないことを目的とした、ローンを組んだ人だけが入れる保険のこと)の保険金も入りますから、3カ所から支給されることになります。
自分 32歳・専業主婦
夫 35歳・会社員(厚生年金加入/期間13年)
子 2人(8歳・5歳)
年収 500万円
住居 持ち家
住宅ローン 有。残債4500万円。団信加入
このケース1の男性が35歳で死亡したときには、どれくらいの保険金が支払われるでしょうか?
まず住宅ローンの残債額の4500万円が団信の保険金で支払われます。遺族厚生年金は段階的に支給額が変わる仕組みです。第1子が18歳になるまでの10年は年間170万円(計1700万円)、その後第2子が18歳になるまでの3年は年間145万円(計435万円)、さらにその後、妻が65歳になるまでの20年は年間58万円(計1160万円)となります。死亡退職金は10年超の勤続で平均150万円程度です。
会社員なら、「もしものとき」に、国と会社からお金が出る、つまり、ケース1の場合は、
●団信によってローンの残債4500万円がなしになるうえ、以後の住居費の問題はなくなる
●遺族厚生年金(1700万円+435万円+1160万円)+死亡退職金150万円=3445万円 を受け取れる
という形になります。年金だけで生活するのは難しいかもしれませんが、月10万円ほどの収入を得て、教育ローンや奨学金を活用すれば、子どもの大学進学も十分可能です。
保険に入るにしても、ネット保険で月々4000円(掛け捨て)程度の保障で十分ではないでしょうか。
また、妻の老後資金を、自宅を担保にしたリバースモーゲージ(自宅を担保にして老後資金を借り入れ、ローンを組んだ人が亡くなったあとに担保の物件を処分して完済する制度)で用意した場合には、さらに老後が安泰です。
自営業で賃貸住まいなら、ある程度の保険が必要
自分 32歳・専業主婦
夫 35歳・自営業(国民年金/期間15年)
子 2人(8歳・5歳)
年収 500万円
住居 賃貸。家賃は月10万円
住宅ローン 無
ケース2の男性が35歳で死亡したときには、どれくらいの保険金が支払われるのでしょうか?
賃貸住宅に住んでいるため、団信は関係ありません。
遺族基礎年金も段階的に支給額が変わる仕組みです。第1子が18歳になるまでの10年は年間122万円(計1220万円)、その後第2子が18歳になるまでの3年は年間100万円(計300万円)、さらに妻が60歳から65歳になるまでの間は寡婦(かふ)年金として年間19万円(計95万円)となります。
自営業ですから、死亡退職金はありません。
つまり、ケース2の場合は、
●遺族基礎年金(1220万円+300万円)+寡婦年金95万円=1615万円 を受け取れるということになります。
同じ35歳で年収と家庭環境が似ていても、自営業か会社員かで社会保障と企業保障が異なることがわかりますね。また、ケース2は持ち家ではないため、月10万円が住居費として追加でかかることになります。2年ごとにかかる更新料も、30年間暮らせば150万円と、バカになりません。
ケース1と2の受け取れる金額の差1830万円と、ケース2で一生かかり続ける家賃を考慮すると、その女性の寿命にもよりますが、差は6000万円近くに及びます。この6000万円の保険に20年間加入した場合の保険料は、通常は月々1万円前後。もちろんこの保険は掛け捨てです。
この2つのケースを比較すると、同じ年齢の人でも、その人の属性によって加入しなければいけない生命保険の金額が異なることがわかります。
生命保険は、遺族、特に末子の年齢が18歳になるまでの経済的な不安をなくすことが目的ではありますが、その保険料は長期間にわたる支払いです。自分の状況をきちんと把握して、できる限り、ムダのないプランを選ぶことが大切です。そのためにも、自分が受けられる保障や、住宅ローンの残債や団信の加入状況を正しく把握しておきましょう。

永田雄三(著)、日経BP、1760円(税込み)
