僕は現実《リアル》が好きだ。空想《フィクション》を仕事としている身でそう宣言するのは変な話だと思うかもしれないが、やっぱり現実はつくづく面白い。僕がどれだけ空想を練ったところで、翌朝には新聞にもっと面白い現実が載っているのではないかと不安になるほどだ。むしろ、現実を小説に持ち込み、編集して空想にすることこそが僕の文芸活動だ。僕に自慢できるものがあるとすれば、それは一日あたりのニュースの摂取量と、それから会ってきた人の数だろう。人もまたニュースだ。社交的な性格だから飲み会なんかに誘われたら極力顔を出すし、そのうえ絡まれやすい顔をしているようで、ひとりで飲んでいるとカウンターで隣に座ってる人から話しかけられることも多い。初めて会う人は、初めて知ることをたくさん持ってきてくれる。そうやって、僕が小説家としての役得を最大限に活用して目撃した現実を、ここで皆さんにお裾分けできればいいなと思う。(イラスト=副島あすか)