春夏秋冬、季節ごとにお届けしております「手前みそ」企画。長い夏が過ぎ、読書に好適な時間が増えた2025年秋も、ぜひお読みいただきたい「日経の本」を全力でご紹介してまいります。推し担当は、「日経の本」の作り手が30人以上も所属する日経BOOKSユニット第1編集部を率いる赤木裕介部長。聞き手は日経BOOKプラスの常陸佐矢佳編集長が務めます。

みなさんの“読書の秋”を充実させる「日経の本」、たっぷりご紹介します
みなさんの“読書の秋”を充実させる「日経の本」、たっぷりご紹介します

直木賞作家の最新作・爆誕!

常陸佐矢佳(以下、常陸):今年も11月を迎えて、温かい飲み物がすっかり手放せなくなりました。読書の季節にお薦めの「日経の本」を、書籍チーム部長の赤木さんに伺います。深まる秋にふさわしい本のご紹介を、どうぞよろしくお願いします。最初はどの一冊でしょうか。

赤木裕介(以下、赤木):刊行すぐに10万部を突破したベストセラーが小説家・朝井リョウさん渾身(こんしん)の最新作、『 イン・ザ・メガチャーチ 』です。話題の「ファンダム経済」をテーマに、仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側の視点から「今」を切り取った小説です。

 ネタバレは避けたいのでストーリーについてはあまり詳しく語りませんが、めちゃくちゃ面白いです! この本に出てくる人たち、「あー、こういう人いるなー」「これは自分のことだ!」と“腹落ち”しまくりです。複数の物語が積み上がって結びつくラストまで息もつかせぬ展開。「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」というキャッチコピーに震えます。
 53歳の私としては、「おじさんの友だちいない問題」にすごく共感しました。さっそく、明日から友だち募集活動に励みたいと思います(笑)

常陸:私もラストまで一気読みしてしまいました! 今の時代の空気がぎゅっと詰まった意欲作ですよね。日経BOOKプラス掲載の朝井さんインタビュー「『集団の熱気と行動力』、今を描く『イン・ザ・メガチャーチ』」や「最新作『イン・ザ・メガチャーチ』との共鳴を感じる2冊の本」、動画の著者メッセージ「朝井リョウが語る『イン・ザ・メガチャーチ』」もあわせてお楽しみいただきたいです。

朝井リョウさんの作家生活15周年記念作品『イン・ザ・メガチャーチ』。赤木部長&常陸編集長もそろって太鼓判の面白さです。発売早々に10万部を突破、各地の書店様におかれましても大展開を頂き、ありがとうございます
朝井リョウさんの作家生活15周年記念作品『イン・ザ・メガチャーチ』。赤木部長&常陸編集長もそろって太鼓判の面白さです。発売早々に10万部を突破、各地の書店様におかれましても大展開を頂き、ありがとうございます

激動の日本と世界の今を知る

赤木:年初からトランプ関税に揺れ、地政学リスクも高まり、物価やコメの値段の高騰が話題になっています。そんな今だからこそ、極端すぎる意見に左右されないよう、きちんと経済やニュースの知識を身につけておきたいところ。まずご紹介するのが『 Q&A日本経済のニュースがわかる! 2026年版 』です。

 「景気や物価の動向はどうなるのか」といった日本経済のこれから、「AI活用の広がりや物流危機への対策」など企業・業界動向、「消費税のあり方や年金制度改革」をはじめとする政策の論点、さらに米トランプ政権の動向や韓国新大統領の政策といったグローバルの動きなど、押さえておきたいポイントがバランス良く解説されています。
 個人的には、巻頭の図解特集にあった「電車遅延、5年で8割増」が面白かったです。原因が分かって、少しスッキリした気がしました。

常陸:新人編集者と若手編集者の2人が担当した一冊ですね。日経BOOKプラスで本書からの抜粋記事をお読みいただけますが、「想定ペースの2倍で増える外国人 なぜ円安下でも日本を目指すのか」「停滞が続く中国経済 市民に広がる『消費降級』の実態に迫る」「『令和のコメ騒動』はなぜ起きたのか 増産を阻む構造的な課題」など、誰かに話したくなる切り口や背景の解説がいいなあと思いました。就活や転職に備えてニュースをおさらいしたい人はもちろん、世の中の「基本のキ」を押さえておきたいビジネスパーソンにお薦めできます。

『Q&A日本経済のニュースがわかる! 2026年版』(日本経済新聞社編)。45のテーマを厳選、各分野に詳しい日経記者が解説します。編集担当は小豆澤陸&幸田華子のフレッシュコンビ、ビジネスパーソンにも就活生にも役に立つ一冊です
『Q&A日本経済のニュースがわかる! 2026年版』(日本経済新聞社編)。45のテーマを厳選、各分野に詳しい日経記者が解説します。編集担当は小豆澤陸&幸田華子のフレッシュコンビ、ビジネスパーソンにも就活生にも役に立つ一冊です
巻頭の図解特集、カラフルに見やすく分かりやすく仕上がっております
巻頭の図解特集、カラフルに見やすく分かりやすく仕上がっております

赤木:続いては、まだ記憶に新しい「令和のコメ騒動」から日本のコメづくりの課題を明らかにする『 コメ危機の深層(日経プレミアシリーズ) 』です。今回のコメ騒動では、「転売ヤーが買い占めた」「農協や政策担当者が価格つり上げにかかった」などの犯人捜しが続きました。が、実際のところは「需要と供給のバランスが崩れた」ことからすべてが始まっていることを、さまざまなエビデンスを基に明らかにします。

 で、結局気になるのは「コメの値段は下がるのか」ということですが、本書を読むと消費者、生産者、流通業者、政策担当者の思惑が複雑にからむため、そう簡単に最適な価格というのは出てこないということが分かります。『 令和米騒動 日本農政失敗の本質 』とあわせてお読みいただき、日本の食料のあり方について改めて考えていただくのもよいかもしれません。

常陸:「平成のコメ騒動」以来およそ30年ぶりの社会現象ですが、毎日の食卓に直結する主食なので関心が高いところですよね。複雑な価格決定の仕組みですが、この2冊に目を通すと理解が深まります。日経BOOKプラスで「はじめに:『コメ危機の深層』」と「はじめに:『令和米騒動 日本農政失敗の本質』」を読んで、気になるほうから手に取ってみるのもよさそうですね。

『コメ危機の深層(日経プレミアシリーズ)』(西川邦夫著)と『令和米騒動 日本農政失敗の本質』(荒幡克己著)。「日本のコメ」をめぐる現在・過去・未来をそれぞれの角度から丹念に分析、ぐっと理解が深まります
『コメ危機の深層(日経プレミアシリーズ)』(西川邦夫著)と『令和米騒動 日本農政失敗の本質』(荒幡克己著)。「日本のコメ」をめぐる現在・過去・未来をそれぞれの角度から丹念に分析、ぐっと理解が深まります

赤木:このところの物価高の原因のひとつが円安傾向にあります。輸出産業が強い日本においては、株式市場からは円高よりも円安が歓迎される傾向にありましたが、ここ数年は「円売り」が問題視されるようになっています。1985年のプラザ合意以降の40年間、通貨の覇権を握る米国の思惑に、日本は常に振り回されてきました。そしてバブル期には「最強」だった円は、主要27カ国で「最弱」の通貨へと転落しています。

 40年にわたる経済、政策、国家間の駆け引きを為替という軸で振り返るのが『 円ドル戦争40年秘史 なぜ円は最弱通貨になったのか 』です。戦後の日本通貨史の生き字引である行天豊雄氏、ミスター円と呼ばれた榊原英資氏、アベノミクスで注目された黒田東彦氏をはじめとする歴代日銀総裁、米トランプ政権の財務長官ほか、キーパーソンへの膨大な取材に基づいて通貨攻防の歴史をひもときます。「秘史」と呼ぶにふさわしいエピソードも入った力作です。

常陸:通貨戦争を経て今の「安いニッポン」に至る経緯や要因を、丹念な取材をベースに描き出していて勉強になります。「はじめに:『円ドル戦争40年秘史 なぜ円は最弱通貨になったのか』」で本書の「序章」の一部を紹介していますが、それを締める「最強通貨から最弱通貨への転落は、このまま第2の敗戦と評価されて終わるのだろうか」という問いかけは、著者の強い危機感がメッセージとして迫ってきます。

『円ドル戦争40年秘史 なぜ円は最弱通貨になったのか』(河浪武史著)。“通貨失政の戦犯”は誰なのか。円の再復活策はあるのか――。丹念な取材の積み重ねから、知られざる歴史と”これから”を浮き彫りに
『円ドル戦争40年秘史 なぜ円は最弱通貨になったのか』(河浪武史著)。“通貨失政の戦犯”は誰なのか。円の再復活策はあるのか――。丹念な取材の積み重ねから、知られざる歴史と”これから”を浮き彫りに

ビジネススキルをアップデート

赤木:日経BOOKプラスには「あの会社の課題図書」という人気連載があります。その担当者が「この会社はすごい!」と感心して、その取り組みを書籍にまとめるように働きかけて生まれたのが『 会社は「本」で強くなる マネーフォワード 全社で取り組む「読書経営」 』です。

 多くの経営者やリーダーが、部下や後輩に本を読むことを勧めます。が、マネーフォワードはさらに一歩進めて、読書が組織文化として根付くよう働きかけ、実際に現場の社員たちが自主的に読書を仕事に生かすようになっています。日経BOOKプラスをご覧のみなさんは読書に関心がある方が多いと思いますが、コミュニケーションの道具として本を使うための上手なやり方や、時間のないときでも効果的に読書をする方法なんかがバッチリ書かれていて、お薦めです。

常陸:書籍誕生のきっかけとなった取材記事が「マネーフォワード 本からの学びを最大限に生かす人材育成法」で、公開当初、大きな反響がありました。この本もあっという間に増刷が決まって良かったです! 「「起業しよう」 マネーフォワード・辻庸介の背中を押した1冊」や「組織崩壊の危機を防ぐために読んだ本」を読むと、辻さんが読書によって挑戦や試練のときをどう乗り越えてきたか、その軌跡がとてもよく伝わってきます。

『会社は「本」で強くなる マネーフォワード 全社で取り組む「読書経営」』(宮本恵理子著)。読書の効用をたっぷり伝えてくれる本書が、本の魅力を日々発信している日経BOOKプラスの取材をきっかけに生まれたこと、大変うれしいです
『会社は「本」で強くなる マネーフォワード 全社で取り組む「読書経営」』(宮本恵理子著)。読書の効用をたっぷり伝えてくれる本書が、本の魅力を日々発信している日経BOOKプラスの取材をきっかけに生まれたこと、大変うれしいです

赤木:「ベストセラー100冊」シリーズの最新作が『 「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。 』です。リーダーシップについて書かれた本、カリスマ経営者の教えなど、107冊のエッセンスがまとめ読みできる、大変お得な一冊です。

 リーダーというと、即断即決をしてみんなを力強く率いていく姿をイメージしがちですが、本書によると「心理的安全性を高める」「『任せる力』を磨く」「ほめて伸ばす」「感謝の言葉を惜しまない」などが心得の上位にきています。部下に動いてもらってなんぼの世界、どれだけ気持ちよく働いてもらうかが大切になる、ということですね。
 本書には「報酬は惜しんだ分だけむしろ損をする」という項目がありました。我が社の上層部に見せて、惜しみなく報酬を上げてもらおうと思いました。

常陸:いいアイデアですね! でも「報酬は惜しんだ分だけむしろ損をする 名著100冊の教え」を読むと、「報酬は『金銭』だけではない」という項目もあって、返り討ちに遭いそうな予感もします(笑)。「人望のある人・ない人 名著100冊が教える優れたリーダーの条件 」や「リーダーの読書は「多読より良書をじっくり」 名著100冊の教え」も人気のあった記事です。

『「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(藤𠮷豊、小川真理子著)。ともに現場を率いる赤木部長&常陸編集長、笑顔でリーダーシップ談義中
『「リーダーシップのベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(藤𠮷豊、小川真理子著)。ともに現場を率いる赤木部長&常陸編集長、笑顔でリーダーシップ談義中
「ベストセラー100冊」シリーズは「文章術」「話し方」「勉強法」「お金」「時間術」に続く6作目に。写真は堂々のラインアップに感心する常陸編集長と照れる担当編集・宮本沙織の図です
「ベストセラー100冊」シリーズは「文章術」「話し方」「勉強法」「お金」「時間術」に続く6作目に。写真は堂々のラインアップに感心する常陸編集長と照れる担当編集・宮本沙織の図です

赤木:イノベーションは今の企業にとって重要なテーマであり、関連記事もたくさんあります。実際にそうした記事を書いてきた経済記者が、より深くイノベーションについて知りたいと一念発起し、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科に入学。そこで学んだ知識と取材経験をミックスさせて書いたのが『 超凡人の私がイノベーションを起こすには ストーリーで読み解く「理論×実践」 』です。

 本書は、イノベーションについての21のストーリーから構成されています。現場の挑戦と失敗のリアルな物語に、SDM研究科で学んだ理論をミックスしたユニークな書籍です。元劇団員がコツコツと自分のできることを進めてスキルアップしていくうちに、IT企業を起業して上場にまで至るという「わらしべ長者」的半生を、エフェクチュエーションの理論で読み解く――。こういうストーリーを読むと面白いだけでなく、自分でも何かできるのでは、と思えてきます。書名のとおり、特別なスキルも才能もない(と自分で思っている)ビジネスパーソンに勇気を与えてくれる一冊です。

常陸:本書からの抜粋記事「年間100万人が骨折 高齢者を守る“魔法のマット”を生んだ思考法」「なぜ犬を幼稚園に? 現場からアイデアを拾うコツ」「日本人の71%が睡眠不足 改善アプリ開発の裏にあるイノベーションとは」を読むと、イノベーションは身近な課題意識から生まれることが分かります。この本から、実践へのヒントを得る人も多そうですね。

『超凡人の私がイノベーションを起こすには ストーリーで読み解く「理論×実践」』(杜師康佑著)。イノベーションは天才のひらめきではなく、誰でも再現可能な「思考の型」から生まれる――。”動き出す勇気”を、あなたに
『超凡人の私がイノベーションを起こすには ストーリーで読み解く「理論×実践」』(杜師康佑著)。イノベーションは天才のひらめきではなく、誰でも再現可能な「思考の型」から生まれる――。”動き出す勇気”を、あなたに

赤木:人生は選ぶこと、選ばれることの連続です。特に、就職・転職や昇進、オフビジネスなら婚活などで選ばれるかどうかは、人生を大きく左右します。とはいえ、他人を蹴落とそうとしたり、自分を実体よりよく見せようとしたりしても、うまく行きません。

 『 選ばれる人の100の習慣 』では、今からでもできるTIPSが数多く掲載されています。「自己否定をしない」「成長のストッパーを外す」「感じのいい聞き上手になる」「誠実に言葉を伝える」などなど、たしかにこういう人と一緒に仕事をしたいな、と思わせてくれる習慣がたくさん掲載されています。

 「『ここだけの話』はしない、『ここだけの話』に同調しない」なんて、飲み屋とかで思わずやってしまいがちなので、深く反省しました。あと、本書には「『おすすめ』を即買いする」という項目も載っています。みなさん、私が今お薦めした本書、ぜひ即買いしてみてください(笑)

常陸:「本を読む」も100の習慣の中にしっかりありましたね(笑)。「はじめに:『選ばれる人の100の習慣』」に目次が載っているので参考にしつつ、自分に合いそうな習慣から試してみるのも良さそうです。

『選ばれる人の100の習慣』(井上裕之著)。日々の心掛けの積み重ねが「この人、いいな」につながっていきます。ちなみに赤木部長に「何に選ばれたいですか?」と尋ねると「日本代表です。ふふふ」と謎の笑顔。「え?何の代表?」とすかさず突っ込む撮影担当の長野洋子と笑いをこらえる常陸編集長…。「手前みそ」取材は本日もほっこりムードです
『選ばれる人の100の習慣』(井上裕之著)。日々の心掛けの積み重ねが「この人、いいな」につながっていきます。ちなみに赤木部長に「何に選ばれたいですか?」と尋ねると「日本代表です。ふふふ」と謎の笑顔。「え?何の代表?」とすかさず突っ込む撮影担当の長野洋子と笑いをこらえる常陸編集長…。「手前みそ」取材は本日もほっこりムードです

秋の夜長に読みたい教養本

赤木:東大に「将棋」の講座があるのをご存じですか? 2013年から東京大学教養学部で将棋についての講義を行ってきた勝又清和七段が、そのエッセンスをまとめたのが『 キホンからわかる 東大教養将棋講座(日経プレミアシリーズ) 』です。

 将棋には基本となるセオリーがあり、情報が対戦する両者に平等に開示されたゲームでありながら、勝利への正解は存在しない。必ず正解が存在する受験勉強の達人である東大生に、相手と駆け引きする頭の使い方を教える内容なのですが、日々状況が変わるなかでビジネスを行う我々が読んでも、大いに役に立ちます。AIとプロ棋士の頭の使い方の違いとは、将棋はどうやっていまの将棋になったのか、プロ棋士は対局中に何を考えているのかといった幅広い内容を、初心者にも分かりやすく、楽しく解説してくれます。

常陸:勝又七段はロジカルな解説で「教授」とも呼ばれ、観戦記にも定評がありますよね。「はじめに:『キホンからわかる 東大教養将棋講座』」を読むと、将棋の楽しさや奥深さが伝わってきて、観戦専門のファン「観る将」が増えているのも分かる気がします。勝又七段には日経BOOKプラスの連載「勝又清和七段 将棋思考とビジネス、AI、歴史」で、ビジネスにも通じる「将棋思考」や影響を受けた本について語っていただいています。

『キホンからわかる 東大教養将棋講座(日経プレミアシリーズ)』(勝又清和著)。11年続いたユニークな講座が一冊に。変わり続ける局面に、いかに柔軟に対応するか。将棋を題材に、ビジネスにも役立つヒントがあちこちに
『キホンからわかる 東大教養将棋講座(日経プレミアシリーズ)』(勝又清和著)。11年続いたユニークな講座が一冊に。変わり続ける局面に、いかに柔軟に対応するか。将棋を題材に、ビジネスにも役立つヒントがあちこちに

赤木:「創造主」「神」とは何なのか、科学とそれ以外の分野ではどのように捉えられてきたのか。『 神と科学 世界は「何」を信じてきたのか 』は、宇宙学、物理学、生物学における最先端科学から、宗教学、歴史、哲学といったさまざまな研究を深掘りしつつ、世界を動かすものの正体に迫ろうとする画期的な書籍です。

 面白いのは、宇宙が「ビッグ・バン」から始まったというのは最近の科学では最も確からしい説とされているのですが、そのビッグ・バンの前には何があったのかが現在の物理学では説明しきれない。むしろ「創造主がいた」と解釈したくなる、という話です。なかなか日本人には思いつかない視点から書かれた、目からウロコの教養書です。500ページを超える大著ですが、とても読みやすく工夫されていますので、秋の夜長にぜひチャレンジしてみてください!

常陸:壮大なテーマに気合が必要なボリュームの本書ですが、元Googleの村上憲郎さんは書評「村上憲郎が推す『宇宙の成り立ちの真理に挑む、苦闘の歴史を網羅した』一冊」で、「若い人たち、具体的には、中学生や高校生に読んでいただきたい」と評していますよね。この本の副題は「『何』を信じてきたのか」なのですが、冒頭の『イン・ザ・メガ・チャーチ』にもリンクしそうな問いかけです。

『神と科学 世界は「何」を信じてきたのか』(ミシェル=イヴ・ボロレ、オリヴィエ・ボナシー著、鳥取絹子訳)。ITエンジニアと起業家である著者たちが「専門家20人の協力のもと、3年の月日をかけて行った探求の成果」はどっしりの560ページ。秋の夜長に、いざ思考の旅へ
『神と科学 世界は「何」を信じてきたのか』(ミシェル=イヴ・ボロレ、オリヴィエ・ボナシー著、鳥取絹子訳)。ITエンジニアと起業家である著者たちが「専門家20人の協力のもと、3年の月日をかけて行った探求の成果」はどっしりの560ページ。秋の夜長に、いざ思考の旅へ

 今年も残すところあと2カ月弱ですが、この記事が皆さんの豊かな読書経験につながることを願っています!

お読みいただき、ありがとうございました。紹介した11冊のほかにも「日経の本」は盛りだくさん。日経BOOKプラスで“あなたの一冊”をぜひお探しください
お読みいただき、ありがとうございました。紹介した11冊のほかにも「日経の本」は盛りだくさん。日経BOOKプラスで“あなたの一冊”をぜひお探しください

写真=長野洋子 構成=坂巻正伸 (日経BOOKプラス 手前みそ班)