今、読みたい最高の1冊に出合える「日経BOOKプラス」。2022年4月21日にスタートし、著名人の選書インタビュー、新刊書籍からの抜粋記事、著者の対談、旬なテーマを解説する「今を読む」など幅広い記事を公開してきました。これらの中で、2022年に読まれた記事は何なのでしょうか。アクセスランキングをご紹介します。
(注)2022年4月21日~12月12日のアクセス数による。同一連載内では最上位の記事のみを紹介している。

第1位~第3位

■第1位

 東京の名門進学校、開成中学校・高等学校で国語を担当する鎌田亨さんが、『 小説伊勢物語 業平 』(髙樹のぶ子著/日本経済新聞出版)などを題材に、古典の面白さを伝える記事が第1位となりました。人気連載「 名門校の推薦図書 」の1本です。

 『小説伊勢物語 業平』の著者、髙樹のぶ子さんが開成中・高を訪れて特別授業を行った模様や、本を学校で配った際、生徒が「わっ、エロ小説だ」と口にしたというほほ笑ましいエピソードも紹介しています。

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■第2位

 ライバルチームへの感謝の言葉を連ね、大きな反響を呼んだホンダのF1撤退直前の広告。その広告のコピーを担当した電通の三島邦彦さんと、『 長いコトバは嫌われる メモ1枚! 人生を変える最強の伝え方 』の著者・横田伊佐男さんの対談記事が第2位となりました。

 三島さんは、コピーの「最初の1行」と「最後の1行」をとにかく大事にしていると言います。横田さんが、成功するコピーライティングの秘密に迫ります。本記事の前編にあたる「 ホンダのF1広告に隠された“胸アツコトバ”の伝え方 」もよく読まれました。

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■第3位

 ウェブブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』を展開するほぼ日代表の糸井重里さんの記事が第3位にランクイン。糸井さんは、2022年10月に地元・群馬県前橋市で「前橋BOOK FES」を開催。自ら蔵書をフェスに送ったという糸井さんに、いつもどのような本を読んでいるのか、聞きました。

 すると糸井さんは、かつて雑誌やウェブの選書インタビューで、自分をよく見せようとする「よそ行き」の本を選んでいたことがあったと告白。これからは、「読書というものを解放して気楽なものにするためにも、『カッコつけない読書』を広めたい」と話します。思わず肩の力が抜けて心が緩む、糸井流「カッコつけない読書」とは?

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第4位~第6位

■第4位

 第4位は、学年ビリの成績から慶応義塾大学に合格した「ビリギャル」こと小林さやかさんがお薦めの本を挙げる記事。小林さんを指導して慶応合格に導いた塾講師、坪田信貴さんの著書、『 才能の正体 』(坪田信貴著/幻冬舎文庫)を紹介します。

 小林さんは、「あなたには無理」と言われて夢をあきらめている子どもたちがいるなら、救ってあげたいと強調。夢をかなえるためには、目標に向かう「強い動機付け」と「正しい努力」が必要だと説き、そのための方法が学べるのが本書だと説明します。

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■第5位

 第5位は、ロシア専門家の小泉悠さんが、現代の戦争を理解するための本を紹介した記事。ウクライナ戦争の解説も盛り込んだインタビュー記事は、2022年5月の公開直後から、爆発的に読まれました。

 この記事で取り上げているのは『 戦争の変遷 』(マーチン・ファン・クレフェルト著/石津朋之監訳/原書房)。『戦争論』で著名なクラウゼヴィッツの戦争観を批判し、「戦争とはどういうものなのか」「誰が戦うのか」「なぜ戦うのか」といったことを詳しく論じる非常に面白い本と紹介しています。

 小泉さんは、本書の内容と絡めてウクライナが善戦している理由も分析しており、読み応えのある内容となっています。以下に紹介する小泉さんの他の記事もよく読まれました。

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■第6位

 第6位には、2022年7月に発売した『 勉強できる子は○○がすごい 』(日経プレミアシリーズ)著者で心理学博士の榎本博明さんと、大手進学塾・SAPIX(サピックス)で中学受験の指導をする広野雅明さんとの対談記事が入りました。

 最近、主流となっている「褒める子育て」の問題点を、自己肯定感との関連で指摘。大学や塾といった教育の現場で、厳しく指導することが難しくなっている現状を明かします。

第7位~第10位

■第7位

 第7位には、酒ジャーナリストの葉石かおりさんの著書『 名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義 』(日経BP)のエッセンスを伝える抜粋記事がランクイン。葉石さんが専門家に取材した結果、ヒトの免疫にとってお酒は好ましくないことが判明します。

 同じく『名医が教える飲酒の科学』から抜粋した記事、「 酒を1日1合飲み続けるだけでも、がんのリスクは意外に上がる 」、「 酒飲みがダイエットを成功させるために常備したいつまみ5選 」などもよく読まれ、酒と健康に対する高い関心がうかがえます。

■第8位

 第8位は、一橋大学名誉教授で初代デジタル監の石倉洋子さんが、自らの情報収集術を紹介する記事。ポッドキャストやTwitterを使いこなす石倉さんは、情報をインプットするだけではなくアウトプットまで意識すると、情報の波におぼれず、収集疲れを起こすこともないと説いています。

■第9位

 第9位は、エール取締役でヒット作『 LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる 』(日経BP)の監訳者でもある篠田真貴子さんがお薦めの本を紹介する記事。『 THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法 』(ダニエル・コイル著/楠木建監訳/桜田直美訳/かんき出版)を取り上げ、チームのパフォーマンスを高めるために必要なことを紹介しています。

■第10位

 第10位は、ベストセラー『 整える習慣 』『 リセットの習慣 』(以上、日経ビジネス人文庫)の著者、順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんへのインタビュー記事。自律神経を安定させるためにお薦めの音楽や食べ物、生活習慣などについて語っています。一見、クラシック音楽は自律神経が整う感じがしますが、実はKISSやレッド・ツェッペリンといったハードロックのほうが良いという驚きの事実を紹介しています。

【「日経BOOKプラス」2022年 記事アクセスランキングTOP20】
順位 記事タイトル
1 開成・鎌田亨教諭 エロ小説だと生徒が騒いだ中学の課題図書
2 「最後の1行」が一番大事、ホンダF1広告コピーライターの文章術
3 糸井重里の告白「僕はもう、よそ行きの読書をやめました」
4 ビリギャル・小林さやか 慶応合格を実現 坪田メソッドの本
5 小泉悠 戦争のできない21世紀にロシアが始めた「古い」戦争
6 榎本博明×SAPIX・広野雅明 なぜ褒める子育てはダメなのか
7 ホントに飲酒で免疫力は下がるのか? コロナ禍の今こそ徹底検証
8 石倉洋子の情報収集術 完璧を目指さず、初動を早く
9 篠田真貴子 成功するチームは「無意識に」何をしているのか
10 モーツァルトとハードロック。自律神経にいいのは?
11 成績の良い子が無意識に身に付けている心と行動の習慣とは?
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